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【滋賀】

<挑む夢舞台 彦根東>(下) 北大津戦、躍進の1勝

北大津戦で打者の狙いを読んで攻め方を変え、好投した平尾拓也投手=県立彦根球場で

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 「乗り越えなければいけない壁だった」。山中俊亮主将(三年)は、滋賀大会三回戦の北大津戦を振り返る。

 前日、選手たちはビデオで北大津の二投手の投球動作の癖、打撃陣の得意とするコースなどを分析した。

 打撃陣の分析は対戦に生きた。北大津の先頭打者は、平尾拓也投手(同)が足を上げると同時に打席で軸足を後ろに引いた。その動きを武田圭太捕手(同)は見逃さなかった。「内角の直球を狙っている」

 早速、平尾投手に伝えた。「内角は狙われている。変化球で外角を中心に組み立てていこう」と配球を切り替えた。平尾投手も「外角勝負」と思い切って内角を捨てた。

 北大津は平尾投手の内角攻めを想定し、徹底した打撃練習に取り組んできた。だが、変化した平尾投手の攻め方に北大津は惑わされた。彦根東を上回る6安打を放つも要所でかわされた。北大津の宮崎裕也監督は「ピンチで動じない精神力を備えた平尾君のペースに終始支配された。完敗だった」と話す。

 彦根東は攻撃では、わずかな好機を逃さず得点に結び付ける成長ぶりをみせた。二回、3四球で満塁とし犠飛で先制。三回には遊撃手の野選の間に1点を追加した。3点目のスクイズを決めた辻天薫(たかまさ)選手(同)は「相手は強豪といえども焦らず戦えた」と平常心を強調した。逆に、北大津の宮崎監督は「ミスから自滅した」と普段の力を発揮できなかったことを悔やんだ。

 彦根東は三年前の夏の県大会決勝で北大津とぶつかり、1−3で敗れている。以降、公式戦では負け続けだった。

 昨年夏の大会後に発足した新チームは、これまで百五十八試合をこなした。試合を積み重ね、下位でも好機を作れる打線が平尾投手を援護するスタイルができた。

 北大津戦では、相手の動きを見抜き、浮足立つことなく戦法を変える、今まで以上の柔軟さをみせた。村中隆之監督は「北大津との一戦は彦根東が勝ちきれるチームに成長したという点で、ものすごく意味のある試合だった」と話す。

 山中主将も「北大津に勝って波に乗り、次戦からは打線も勢いづいて一気に優勝へと突き進めた」。彦根東ナインは滋賀大会を勝ち抜いた勢いそのままに夏の甲子園初戦に挑む。

(曽田晋太郎)

 

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