福知山・爆発事故:死者、搬送時に意識 やけど治療困難も
毎日新聞 2013年08月20日 12時19分(最終更新 08月20日 12時45分)
京都府福知山市の花火大会会場で15日に起きた爆発事故で、亡くなった3人は全身に大やけどを負い、事故2〜4日後に命を落とした。19日に亡くなった山名空(そら)君(10)=京都府京丹波町=は搬送時に意識があったという。重傷のやけどは、時間経過とともに容体が悪化するケースもあり、治療は困難が伴う。一方、総務省消防庁は19日、全国の都道府県と消防本部に対し、ガソリンなどの火気取り扱い時の防火指導を徹底するよう求める通知を出した。
日本熱傷学会理事の塩野茂・大阪府立中河内救命救急センター所長によると、最初の数日は血管内の血液の量が減って組織が機能しなくなる「熱傷性ショック」の危険がある。17日に亡くなった竹内弘美さん(44)=同町=の死因も「循環血液量減少性ショック」だった。塩野所長は「それを乗り切ってもやけどが治るまでは感染症の危険がずっと残る」と指摘する。できるだけ速やかに損傷した皮膚を取り除く必要があるが、体への負担が大きく、容易ではないという。
やけどは重症度を軽症から重症にかけ1〜3度で表示。熱傷が表皮にとどまる1度、真皮に達する2度、皮下組織に達する3度に分けられる。3度は皮膚の移植手術が必要になる。塩野所長は「意識があっても命の危険はつきまとう。1週間過ぎたから大丈夫というものでもなく、しっかり治るまで予断は許さない」と指摘している。
京都府警のまとめでは、事故の被害者は死者3人、負傷者57人。19日現在で30人が入院中で、うち13歳男子生徒、8歳女児の症状が重いという。府警は、事故発生時の状況を把握するため、入院患者の症状を確認しながら、捜査員が病院に出向き、聞き取りを始めている。また、消防庁の通知は花火大会や祭りなどイベント主催者や露店業者などが対象で、同庁によると屋台出店に関する通知は初めてという。【花澤茂人、堀智行、村田拓也】