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古代エジプトの文化財を収蔵する同国ミンヤ県のマラウィ国立博物館が先週、騒乱の中で襲撃され、「聖獣」とされるトキなどのミイラや彩色木棺などほとんどの収蔵品が盗まれたことが20日までに分かった。博物館が丸ごと略奪されるという同国で前例のない被害で、内外の関係者に衝撃を与えている。
地元メディアによると、事件があったのは、首都カイロでモルシ前大統領支持派が強制排除された14日の夜から15日にかけての間とみられる。考古省の暫定的な調査によると、収蔵品1089点のうち1040点が盗まれ、重くて持ち去られなかった像などは傷つけられていた。これまでに返還、回収されたのはごく一部にとどまっている。
考古省や地元メディアは、事件前に博物館の庭で座り込みをしていたモルシ派の関与を指摘しているが、犯人は不明。事件の際、警備員が射殺され、監視カメラも破壊されていた。
マラウィは、紀元前14世紀の首都でツタンカーメン王が生まれ育ったアマルナのナイル川対岸にある町で、ヒヒやトキを聖獣と考えたトト神信仰の中心地にも近い。収蔵品には、髪を片方に束ねるアマルナ時代の特徴的な髪形をした子ども時代の王女の石像や、トキに金箔を施したミイラなどが含まれる。
考古省は盗品のリストを早期に作成して関係当局に通報し、国外への持ち出しや国際市場での売買禁止を求める方針だ。
考古省のアハマド・シャラフ博物館局長は共同通信に「貴重な文化財を収めた博物館が丸ごと略奪されたのは歴史上例がない。エジプトの歴史と文明を破壊する行為だ」と憤った。(共同)
(2013年8月20日11時39分 スポーツ報知)
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