(cache) BUMP OF CHICKEN アルバム『BUMP OF CHICKEN I [1999-2004], II[2005-2010]』(インタビュー)|エキサイトミュージック(音楽)
エキサイト BUMP OF CHICKEN、ベストアルバムです。どうですか?
増川
嬉しいですよ、すごく。この前ライヴやって、昔の曲やっても知らない人たちもいるんだなと思ったりとか、そういう人たちにも届けられるというのが、単純に嬉しいですね。
直井
今、ジャケットとか一生懸命やってるんですけど。みんなが手に取った時に喜んでもらえるような作りになってきてるので。まあ、その根拠はっていうと、自分たちが手に取った時にすごいいいデザインになってきてるので、早く届けたいなと思っています!
藤原
すごく自然に……ベスト盤を出すことが必然になって。僕たちのその必要性を、自分たちのほうから能動的に感じることができて、改めて考えると、バンドが今、そういうところに来てるんだっていうのがすごく嬉しいですね。バンドが前に進むために、もっと創造的に活動していくために、一人でも多くの人に聴いてもらうために、今必要なものは何かっていった時に、自然にベストアルバムが出てくるという。バンドがそこまで来たっていうのが、すごく嬉しいことだなぁと思いました。自分たちが今どういう選択をしてるかっていうことを、あんまり考えてなかったですけど、そういう実感が湧いてきたっていう感じですかね。今のバンドの状況を、もっと一人ひとりにわかってもらうにはどうしたらいいか。今までやってきたことを大切にして、守りつつ伝えていくにはどうしたらいいか。他にもう方法がなかった。自然にそうなった。これはほんとにすげえなっていう(笑)。
升
ほんとに嬉しいっていうのが感想ですね。ベスト盤を出せるということは、それだけの年月をバンドとして活動してきたということであって、10年以上も活動し続けられたことはほんとにありがたいことだなと。実際自分も聴いてみて、振り返ることができたりして。いろんな聴き方があると思うんですけど。
エキサイト 改めて、27曲を全部聴いてみて、その感想はどうでしたか?
升
そうですね、基本的には昔を振り返ったりしないんですけど、やっぱりベスト盤となると、若干客観的に聴ける部分があって。そうすると、今、ちょっとこういう部分が足りないんじゃないかとか、忘れてたものがわかったりして、単純に勉強になったなと(笑)。
藤原
僕はね、実はまだ聴いてないんですよ。基本的には既発の曲なので、オリジナルのフルアルバムを、できたばっかりのものを聴くということはしますけど、そうではないじゃないですか。むしろ、じゃあベスト盤だってなった時に、いろんなベストがありますよね。各アルバム曲も入るとか、カップリングなんかも入るとか、ファンの人が投票して選ぶとか。そこに関しては、僕らはまったく選べなくて。だから、どうしたらいいかなってなった時に、早い話でシングルってものがあるわけですよ。今まで僕らの十数年のバンドの歴史の中で、その時々の自分たちを紹介する役割を担ってきた曲がシングルなんですけど、それがまとまるっていうのが自分たちにとっては、納得できる話だったんですね。とはいえインディーズの頃は、シングルっていう考え方がそもそもあまりなかったので、スタッフが客観的な視点で数曲選んで入れてくれたんですけど。そういうふうにまとまっていって、他にもシングルではないけど入ってる曲とかもあるんですが、ミュージック・ビデオを作ったりして、シングル的な役割を担ってたりする曲なんですよ。たとえば「ギルド」とか「Stage of the ground」もそうだったし。だから、中身に関しては、僕ら自身ではまったく選べなかったんです。そういうものなので、まず僕は今やることをやろうと思って、ベスト・アルバムのほうは聴かずに、次の新曲を作ってたんだと思います。
直井
僕は全部聴いてます。それで、今BUMP OF CHICKENは精力的にレコーディングをしていて、僕もそのことしか考えてなくて、ネタ探しになっちゃったんですよね。藤原くんが作った曲、アコギと藤原くんの声だけが入ってるものに、どんなリズムでどんなベースで、ってことしか最近ほんとに考えてなくて。だから、昔の自分に力をすごいもらったりするし、逆に自分がこっちに戻ったほうが、いいベースが弾けるんじゃないかとか思ったりして(笑)。かっこつけてるから、見られる意識が昔のほうが強かったんじゃないかとか(笑)。それで、やっぱり今のことしか考えられないんだっていうことが、はっきりわかったというか。昔の曲が良くないわけじゃなくて、1曲1曲を、自分でその時のベストを常に求めていた結果、ベストアルバムが出せるってことだと思うんですね。だから、今藤原くんが作ってくれた曲、生んでくれた曲に対してベストな自分でありたい気持ちしかないので、それを振り返ったところでネタ探しにしかならないんです(笑)。
増川
僕は、ベストアルバムの1枚目のほうしか聴いてないんですよ(笑)。なんか、1枚目は昔の昔じゃないですか。ちょっと、音とか、聴けないくらいかなと思ってたんですけど、そんなことは意外なほどなくて。すごく高いハートでやってたというか……さっき秀ちゃん(升)も言ってたけど、「この感じ、あった!」みたいな、そういうエネルギーがすごく高くて。だから、それはすごく誇らしかったというか。もっと、いろいろ考えちゃうかなと思ったんですけど。なんか、いい感じだったんです(笑)。
藤原
でも、総括して言うと、「ガラスのブルース」から今まで、変わった・変わってないの話をすれば、どっちでも言えると思うんです。僕らは新しいことを、ずっとやってきてるんですよ。今このインタビューを読んでくれてるあなたが聴いて、そうは思わないかもしれないです。でも僕らの中では非常に重要なことで。
直井
そうなんだよね。
増川
うん。
升
そうだね。
藤原
毎回、それは結果的なものなんですね。たとえば「ロストマン」にはドラムが二つ入ってるんです。ドラムを二つ入れて曲を作ってみよう、じゃないんです。結果的にそうなるんです。当時の僕がどういうふうにやったかわかんないんですけど、「ロストマン」という曲はそういう曲だったんです。じゃあライヴでやる時はどう再現しようか? それをミックスしたフレーズでやればいいんじゃない?ってことになって。だから、曲が生まれ持った姿に対して僕たちは常に誠実だったんです。曲が、このフレーズがこの音で鳴ってて、その音を求めてるのに、そこに踏み込まないのはやっぱり、違うと。あるべき形で鳴らしてあげたい、その曲が求める姿で鳴らしてあげたい、表現してあげたい。そうなった姿を見たい。それに対して、やっぱりほんとに、周りのスタッフとかが困るぐらいの……。
直井
困ってるよね……(笑)。
藤原
情熱があって。興味があって。音楽をやる上で、他のことにはそんなになくてね、逆に言うと。だから結果的に言えば、毎回毎回自分たちの中では新しいものなんです。でも、じゃあこの曲新しいねって言われると、別にそういうことでもなかったりとかもするんです。だって、いつもどおりだもん。いつも僕たちは曲が望んでる姿を探してきただけですからね。だからほんと、毎回同じこと言ってると思います。
直井
僕は全部聴いてます。それで、今BUMP OF CHICKENは精力的にレコーディングをしていて、僕もそのことしか考えてなくて、ネタ探しになっちゃったんですよね。藤原くんが作った曲、アコギと藤原くんの声だけが入ってるものに、どんなリズムでどんなベースで、ってことしか最近ほんとに考えてなくて。だから、昔の自分に力をすごいもらったりするし、逆に自分がこっちに戻ったほうが、いいベースが弾けるんじゃないかとか思ったりして(笑)。かっこつけてるから、見られる意識が昔のほうが強かったんじゃないかとか(笑)。それで、やっぱり今のことしか考えられないんだっていうことが、はっきりわかったというか。昔の曲が良くないわけじゃなくて、1曲1曲を、自分でその時のベストを常に求めていた結果、ベストアルバムが出せるってことだと思うんですね。だから、今藤原くんが作ってくれた曲、生んでくれた曲に対してベストな自分でありたい気持ちしかないので、それを振り返ったところでネタ探しにしかならないんです(笑)。
エキサイト だから、ほんとに1曲目の「ガラスのブルース」から最後まで、そうした意味でこのベスト盤というのは、まさにドキュメントとしてちゃんと成立していると思います。
藤原
それで、僕ら最初は、GREEN DAYとかコピーしたりして、わいわいやってたんです。楽しかったです、その時からずっと。でも、初めて「DANNY」とか、オリジナルをちょっとやって、「あれ? 自分たちの曲やるって面白いね」ってなって。基本的にはおうちでやってたんですよ、僕たち。
直井
そうだよ。おうちバンドですよ。
藤原
だけど勇気を出して人の前に立ってみたんです。そしたらありがたいことに、インディーズの頃からそれを聴いてくれる人がいて。それで、千葉でワンマンできるようになって、下北でワンマンできるようになって、都内でワンマンできるようになって、1個1個ステージ上ってきたというか。結果的なものなんです。自分たちで、じゃあ次こうやろうぜっていうことではなかったんだよな?
直井
そうだね。
増川
うん。
升
うん。
藤原
なんか、必然的にそういうふうになっていく。
エキサイト だから、BUMP OF CHICKENはそういう必然の下にベストアルバムを出せるんだっていうことなんですね。
藤原
うん。たぶんね、CDを出すとか、そういうステップっていうのは、1個1個細かく言えばあるんだけど、1個1個の必然があって、そのたびに少しずつお客さんが増えてくれて。で、同時に、聴いてくれる人がいるっていうのは、自分たちにとっては本当にありがたいことで。この人たちがいなかったら、僕たちが音楽をいくら鳴らしても聴いてもらえなかったら、その音楽はそこにないのと同じじゃないかっていう。音楽を作って、こうやってガーンて鳴らすけど、今出した音は聴かれるために出てきたんだなっていう、その非常に当然な事実の重さが、ステップ上がるごとにどんどんでかくなっていって。で、今、2013年のBUMP OF CHICKENがいるわけですけど。今、僕たちに必要なことは、ベスト・アルバムを出すことなんです。これをみんなに聴いてもらう必要がある。そんで次のアルバムを出す。アルバムなのかシングルなのかわかんないけど。たぶんそういうことなんだ。必然的なことなんです。きっと昔から応援してくれてる人たちは、戸惑ってる人もいると思うんですけど。
直井
そうだね。
増川
うん。
藤原
興味がなかったらそれでもいいです。だって持ってるでしょ、昔から応援してくれた人たちは。ありがとう! 安心して、「ふーん」って見ててくれればいい。だから僕たちにとって、非常に必要なことなんです、これは。バンドは今そういうところに来てる。あなたが応援してきてくれたおかげで、ここまで来れた、ってことですね。