困っている人たちに救いの手を差し伸べる――。普段の生活では当たり前の行動も、イタリアサッカー界には当てはまらないようだ。１８日（日本時間１９日）にローマで行われた「イタリアスーパーカップ」でユベントスは４―０でラツィオに勝利し、今季１冠目を獲得した。好スタートとなった昨季リーグ王者への「厚意」をめぐり、大騒動に発展している。

　ユーベは１６日に決戦地ローマ入りし、最終調整を行うことにしたが、非公開練習ができる場所がなくて困っていた。そんな時、手を差し伸べたのは名門ローマ。ちょうど練習試合で遠征するため練習拠点である「トリゴリア」の使用を申し出たという。ユーベＧＫジャンルイジ・ブフォン（３５）も「なかなかできないこと」とローマの行動を称賛した。ただこれに反発したのはローマサポーター。クラブ側に対して「恥を知れ！　フロントは総退陣せよ」と猛抗議を開始したのだ。ローマサポにとって一番の敵は、同じローマを本拠地にするラツィオ。その次が“北部の雄”こと王者ユーベ。試合でも常にサポーター同士が敵対心をむき出しにするが、リーグ優勝を争うライバルに塩を送る行為は“愚の骨頂”というわけだ。

　またユーベと対戦したラツィオのサポーターも「スクデット（小さな盾の意味。リーグ優勝を指す用語）をつけたチームをトリゴリアで見るのは（ローマが優勝した２００１年以来）１２年ぶり」とローマの行動を皮肉った。しかも敗戦で怒り心頭となり、ローマサポを“口撃”するなど、グラウンドの貸し出しが思わぬ大騒動となった。

　ちなみにＪリーグではクラブ同士で遠征の際に練習場を提供し合うことは珍しくない。サッカー文化の違いとは言え、まさかの事態にクラブ側も困惑しているようだ。