駆け出す日大山形ナイン

＜第９５回全国高校野球選手権大会（１９日）＞日大山形（山形）４－３明徳義塾（高知）

　８回。日大山形は１点を返してなおも二死三塁の場面で、４番・奥村が敬遠された。勝負を挑まれた吉岡は「なめられてるなと思ってイライラした」。そう言いながらも、打席に入った時にはすでに冷静になっていた。甘く入ってきた２球目の直球を右前に運び、勝ち越しの走者を迎え入れた。相手先発・岸との勝負に見事に打ち勝ち、チームに勝利をもたらした。

　２回戦の日大三戦でも奥村が敬遠され、自分が勝負を挑まれた。そこでは結果を残せなかった。雪辱のチャンスに気持ちを高ぶらせる吉岡は、荒木監督から「結果を気にするな」と声をかけられ気持ちが楽になったという。

　チームは点を取られては取り返す苦しい展開だったが、８回の吉岡の一打で初めてリードを奪うと、そのまま押し切った。８回に２四球と死球で二死満塁のピンチを招いたが、ここは先発の庄司がなんとかしのぎ、山形県勢として初のベスト４進出を果たした。

　山形県勢のこれまでの最高位は２００６年に同校が記録したベスト８。そのためチームの目標は先輩超えのベスト４に定められ、冬には先輩たちの甲子園での映像を見て諦めない気持ちを学んだ。前夜１８日のミーティングで荒木監督は「新しい歴史を作ろう」と鼓舞したという。

　ついに“新たな扉”を開いた日大山形のナイン。「ここまできたら日本一を目指します」（吉岡）。深紅の大優勝旗まであと２勝だ。