近畿の強豪校が全滅…甲子園“ドーナツ化現象”のカラクリ
日刊ゲンダイ 8月20日(火)10時26分配信
<センバツに続き、ベスト8に近畿勢ゼロ>
近畿勢が甲子園強豪と言われたのも昔の話だ――。19日に4強が出揃った夏の甲子園大会は、日大山形、花巻東(岩手)の東北勢2校と九州の延岡学園(宮崎)、関東の前橋育英(群馬)が勝ち上がった。
ベスト8の時点でも東北と関東、四国から2校ずつ、北信越と九州からそれぞれ1校だったが、センバツに続いて、近畿勢が2大会連続で1校もベスト8にさえ残れなかったことに「なぜ?」の声があがっている。
近畿地方といえばPL学園(大阪)をはじめ、履正社(大阪)、報徳学園(兵庫)、智弁和歌山(和歌山)など、甲子園強豪校の本場だった。それに比べ、かつて甲子園弱小地方と呼ばれた東北勢が2校がベスト4入り。負けたとはいえ、初出場の弘前学院聖愛(青森)もベスト16入りした。
なぜ、甲子園で“ドーナツ化現象”が起きているのか。スポーツライターの美山和也氏はこう言う。
「まず言えるのが、地方のレベルが上がっていることでしょう。昔は中学の硬式野球といえばボーイズリーグを中心とした大阪が強かったが、最近はそうとは限らない。硬式野球チームも、以前よりは全国に増えていますからね。それに加え、ボーイズの子は身近な強豪校よりも、遠くでもレギュラーになれる学校を選ぶことが多い」
しかも、近年は近畿地区からの野球留学にも変化が生じているという。あるシニア関係者は「近畿で最も多く選手を他県に供給していたのが大阪ですが」とこう続ける。
「少し前までの大阪は履正社やPLなどが群雄割拠していましたが、近年は大阪桐蔭の1強時代。確かに大阪でも一握りのトップ選手は大阪桐蔭に進学するが、そうでない中学生は『甲子園に出るためには他県に行くしかない』と地方に流れる。しかし、ここで問題なのが、中3の時点では強豪校の眼鏡にかなわなくても、高校で伸びる選手もいるということです。駒大苫小牧(北海道)に進学した楽天の田中がいい例でしょう。大阪で複数校が拮抗していれば県内に残ったはずの子が、地方で開花する例はたくさんある。逆に中3では群を抜いていても、高校で伸びない選手もいますからね」
大阪のボーイズやシニアの監督の中には、なるべく多くの教え子を甲子園に出場させるため、同じ地域に偏らないよう全国各地に振り分ける者もいるという。近畿勢の凋落は決して偶然ではない。
最終更新:8月20日(火)10時26分