福知山・爆発事故:観覧席にガソリン缶 危険性に気付かず
毎日新聞 2013年08月20日 07時15分
京都府福知山市の花火大会事故で、ガソリンが爆発した現場の観覧席に事故4〜5時間前の15日午後3時ごろから置かれていたとみられる、稼働中の発電機とガソリン携行缶について、主催者や市消防など安全確保にあたる機関が危険を指摘することなく、何の措置もとっていなかったことが分かった。有識者からは身近な危険物への意識の低さを指摘する声が出ている。
大会を実質的に主催する福知山商工会議所によると、屋台は通路をはさんで2列あり、堤防側の屋台の裏側が観覧席に接し、発電機や携行缶など機材が観覧席に置かれやすい会場設計になっていた。
柳井津佑健・同商工会議所事務局長は「これまで誰も危険性を指摘しておらず、屋台の裏側に観覧禁止区域を作ることは考えたことがなかった」と話す。
会場警備は、民間警備会社や市、商工会議所など約150人態勢で実施。現場周辺には約10人が配置されたが、主な任務は転倒防止や通路確保。柳井津事務局長は「火気取り扱いに対する意識が低かった」と語った。
市消防本部と府警福知山署も各約100人態勢で、警備や事故警戒に当たった。消防本部は花火の打ち上げ場所は巡視したが、観覧席は見回っていなかった。同本部は「ガソリン40リットル未満の扱いは届け出義務はなく、当事者責任が原則。届け出がなければ見回る根拠がない」としている。
総務省消防庁は「観覧席の中にガソリンと発電機を置いていることが分かれば、撤去させるべきだ」としている。【佐藤孝治、村田拓也、五十嵐和大】
室崎益輝・神戸大名誉教授(防災計画学)の話 ガソリンは気化しやすく、非常に危険なもの。身近な危険物への危機感が欠如しているのではないか。