メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

トピックス
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック
はだしのゲン―閲覧制限はすぐ撤回を

広島での被爆を主題にした漫画「はだしのゲン」を、松江市教委が小・中学校の図書館で自由に読めなくするよう指示していたことがわかり、全国から批判が相次いでいる。作品の終盤に[記事全文]

いじめ対策―先進例を共有しよう

夏休み明けの2学期は、いじめが増えるといわれる。ゆううつな気分で新学期を迎える子もいるに違いない。6月に国会でいじめ防止対策推進法ができたのを受け、文部科学省の有識者会[記事全文]

はだしのゲン―閲覧制限はすぐ撤回を

 広島での被爆を主題にした漫画「はだしのゲン」を、松江市教委が小・中学校の図書館で自由に読めなくするよう指示していたことがわかり、全国から批判が相次いでいる。

 作品の終盤には、旧日本軍がアジアの人々の首を切断するなどの描写がある。市教委は昨年12月、「過激な表現だ」として、学校の許可なしで見られなくするよう校長会に求めた。貸し出しも認めないという。

 「ゲン」は昨年12月に死去した漫画家の中沢啓治(なかざわけいじ)さんの作品だ。実体験した原爆の惨状と戦後の苦難に加え、資料などで知った戦場の様子を強烈なタッチで描いて反響を呼んだ。

 学校図書館で読める数少ない漫画として「ゲン」を手に取り、初めて原爆に関心を持った子どもも少なくない。

 市教委の指示は、子どもたちのそうした出会いを奪いかねないものだ。しかも重要な決定の場合、公開の教育委員会議にかけるべきだが、今回は事務局の判断で決まっており、不透明というしかない。市教委はただちに指示を撤回すべきだ。

 きっかけは、ある男性から昨年8月に市議会に出された陳情書だった。「ありもしない日本軍の蛮行が掲載され、子どもたちに悪影響を及ぼす」とし、学校からの撤去を求めていた。

 陳情は不採択となったが、一部市議から「不良図書」ととらえ、市教委が適切な処置をすべきだとの意見があり、閲覧制限の指示につながった。

 「ゲン」には連載当時から「残酷」という声が寄せられ、中沢さんも描き方に悩んだと述懐している。旧軍の行為や昭和天皇の戦争責任を厳しく糾弾している点から、「偏向している」「反日漫画だ」といった批判も保守層の間で根強い。

 それでも、「ゲン」が高い評価を得たのは、自身が目の当たりにした戦争の残酷さを力いっぱい描くことで、「二度と戦争を起こしてはならない」と伝えようとした中沢さんの思いに子どもたちが共感したからだ。

 漫画を否定しがちだった先生たちが、限られた図書館予算の中から「ゲン」を積極的に受け入れたのも、作品のメッセージ力が強かったからこそだ。

 旧日本軍の行為や天皇の戦争責任をめぐっては今もさまざまな見方があり、「ゲン」に投影された中沢さんの歴史観にも議論はありえるだろう。

 それこそ、「ゲン」を題材に、子どもと大人が意見を交わし、一緒に考えていけばいい。最初から目をそらす必要はどこにもない。

検索フォーム

いじめ対策―先進例を共有しよう

 夏休み明けの2学期は、いじめが増えるといわれる。ゆううつな気分で新学期を迎える子もいるに違いない。

 6月に国会でいじめ防止対策推進法ができたのを受け、文部科学省の有識者会議が対策の基本方針の話し合いを始めた。

 いじめに関してはさまざまな調査研究がある。それらも活用しながら、現実にあった効果的な対策を打ってほしい。

 同法は、各地でいじめによる自殺が相次いだのを受けてつくられた。そのため、学校と警察の連携や、加害生徒の出席停止といった「特定の加害者」を想定した対策に力点をおく。

 もちろん、暴力や恐喝など犯罪にあたるようないじめには厳しく臨む必要がある。だが、それだけでは不十分だ。

 国立教育政策研究所が今月公表した調査を見ると、だれもが被害者にも加害者にもなりうるし、被害者と加害者が入れかわる。それが今のいじめの特徴であることがわかる。

 だから、クラスの子全員を対象にした予防策が大切なのだと調査は説いている。

 調査は、複数の小中学校を数年間続けて調べた。中学校の場合、3年間まったくいじめの被害を受けなかった生徒も、逆に3年間加害経験がなかった生徒も3割ずつしかいなかった。

 いじめられっぱなし、いじめっぱなしという生徒は、ほとんどいなかったという。

 また、国際比較をすると、日本は身体的な暴力が少なく、仲間はずれや無視、陰口が多い。一つ一つは軽い行為にみえるぶん、だれでも加担しやすい。そこに危険があるようだ。

 学校や教育委員会、家庭にこうした基本認識を広めるのが対策の第一歩になろう。

 各校が実情に応じて対策がとれるよう、各地の先進例の共有も進めてほしい。

 たとえば、小6に小1の面倒をみる活動をさせたら、中学に進んでいじめが減ったという報告がある。人の役に立ち、評価された経験が効くのかもしれない。また、生徒同士が気楽に悩みを相談しあえる仕組みを採り入れた学校もある。

 先生も生徒もいそがしく、取り組みに多くの時間を割けないという声も聞く。だったら、政府が強化するという道徳教育の時間を、そうした活動にあててはどうか。

検索フォーム

注目コンテンツ

  • ショッピング屋外でも活躍!最新HDD

    もはや高速、無線は当たり前

  • ブック・アサヒ・コム死に直面した冒険家らの決断

    ヒヤッとする遭難モノで暑気払い

  • 【&M】温和で臆病なオカメインコ

    緊張すると頭上の冠羽が立つ

  • 【&w】渡辺有子 一期一会のスープ

    残った野菜で作る絶品レシピ

  • Astandミュージカル「アニー」

    9000人から選ばれた二人

  • 朝日転職情報

  • 就活朝日2014