東京電力は19日、福島第1原発の原子炉の冷却に使った後の汚染水を貯蔵するタンク周辺で水たまりが3カ所見つかり、水たまりの真上約50センチで最大毎時100ミリシーベルトと非常に高い空間線量を計測したことを明らかにした。東電は「タンク内の汚染水が漏れた可能性が高い」としている。排水溝などに流れ出た形跡はなく、海への流出はないとみている。
原子力規制委員会は19日、国際的な事故評価尺度のレベル1と暫定評価した。8段階のうち下から2番目の「逸脱」に当たる。規制委は東電に、漏えい場所の特定やモニタリング監視の強化、汚染土の回収を指示した。
原子力規制庁の保安検査官が19日午後、汚染水漏れが見つかった周辺のタンクを目視で調べたが、漏れた場所は特定できなかった。
東電などによると、19日午前9時50分ごろ、見回り中の東電社員が、水漏れが発生した際の流出防止のため、タンク下に設けている鉄筋コンクリート製のせきの排水弁2カ所から、水が流れているのを発見。せきの外部に縦横3メートル、深さ1センチなど水たまりが2カ所見つかった。せきの内側にも深さ1〜2センチの水たまりが1カ所あった。漏えい量は調査中。18日午後5時ごろに社員が巡回した際、水たまりはなかったという。東電は「雨水を排水するため開けている弁を、汚染水漏れが見つかったら閉める運用だった」と説明した。
東電によると、周辺のタンクには原子炉の燃料冷却に使った後、放射性セシウムを取り除く処理をした汚染水を保管しており、1基当たり千トン入るタンクが計26基ある。