8月19日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ユーロ上昇、独連銀がECB利上げの可能性排除せず
ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対円で上昇。2週間ぶりの高値を付けた。ドイツ連邦銀行(中央銀行は欧州中央銀行(ECB)が低金利維持を言明していることについて、インフレ圧力が増せば利上げの可能性を排除しないとの見解を示した。
ユーロは主要16通貨の大半に対して上昇した。ドイツ連銀は月報で、「フォワードガイダンス(時間軸政策)はより強いインフレ圧力が顕在化した場合の政策金利引き上げの道を断つものではない」と説明した。日本の貿易収支が赤字となったことを背景に、円は対ドルで続落。インド株の下落を嫌気し、インド・ルピーは最安値を更新した。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)傘下のRBSセキュリティーズ部門為替ストラテジスト、ブライアン・デンジャーフィールド氏は「ドイツ連銀の見解を受け、ユーロは上昇している。インフレ圧力が再び強まれば、フォワードガイダンスのハト派的なトーンが弱まる可能性をあらためて示している」と述べた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ユーロは対円で前週末比0.1%高の1ユーロ=130円09銭。一時は131円03銭と、5日以来の高値を付けた。ユーロは対ドルで0.1%高の1ユーロ=1.3335ドル。円はドルに対し0.1%未満安い1ドル=97円55銭。
ルピールピーは対ドルで最安値に下落。米景気の堅調を受け、連邦公開市場委員会(FOMC)が早ければ9月にも債券購入の規模を縮小するとの思惑が背景にある。ルピーは2.4%安の1ドル=63.13ルピー。一時は2.6%下げ、63.23ルピーとなった。
海外投資家はインド株・債券市場から7月に差し引きで30億ドルの資金を引き揚げた。インドの成長率が10年ぶりの低水準となったため、米金融当局の緩和縮小観測を受けた新興市場からの資金引き揚げの影響を受けやすくなっている。
ドラギECB総裁は7月に初めて、政策金利が長期にわたり現行またはそれ以下の水準にとどまると言明。8月にも発言を繰り返した。
野村ホールディングスの外国為替ストラテジスト、チャールズ・サンタルノー氏(ニューヨーク在勤)は電話インタビューで、「ドイツ連銀の見解がユーロの支援材料となった。ユーロに対する強気な見方がやや強まった。ユーロ買いも徐々に増えているようだ」と指摘した。
先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によれば、ユーロは年初から5.3%高と、上昇率首位となっている。ドルは4%上げ、円は8.8%下げている。
円安7月の貿易統計(速報、通関ベース)は輸出から輸入を差し引いた貿易収支が1兆円超のマイナスとなった。ブルームバーグ・ニュース調査による予想中央値は7735億円の赤字だった。
スタンダードチャータードの為替調査グローバル責任者、カラム・ヘンダーソン氏は「日本の貿易収支は依然として大幅な赤字となっており、円の売り材料であることは明らかだ」と述べた。
米銀が決済機関デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング(DTCC)へ提出したデータをブルームバーグがまとめたところによると、外為オプションの店頭取引は合計240億ドル。16日は180億ドルだった。この日の総額のうち対円でのドルのオプション出来高は31億ドルで、シェアは13%と最大。
原題:Euro Strengthens as Bundesbank Says Rates May Rise; RupeeSlumps(抜粋)
◎米国株:下落、エネルギー株安い-FOMC議事録など控え様子見も
米株式相場 は下落。エネルギー株が売られたほか、連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事録公表などを控えた様子見姿勢も影響した。S&P500種株価指数は今年初めて4営業日続落となった。
S&P500種の業種別10指数ではエネルギー株が最大の下げ。原油相場の下落が材料視された。特にアパッチの下げが目立った。インテルは上昇。パイパー・ジャフレーによる投資判断引き上げを受けた。真空ポンプを手掛けるエドワーズ・グループは大幅高。スウェーデンのアトラスコプコによる12億ドルでのエドワーズ買収合意が好感された。
S&P500種 株価指数は前週末比0.6%安の1646.06。ダウ工業株30種平均は70.73ドル(0.5%)下げて15010.74ドル。
レイモンド・ジェームズ・アンド・アソシエーツのチーフ投資ストラテジスト、ジェフリー・ソー氏は投資家向けリポートで、「依然として材料に欠けるデッドゾーンにある。金融政策や決算、夏休みといった材料のない状況だ」とした上で、「長期的にはなおかなり強気と考えられる」と述べた。
先週はS&P500種が2.1%、ダウ平均は2.2%それぞれ下げた。
金融当局は今週21日に、FOMC会合(7月30-31日開催)の議事録を公表する。ブルームバーグが今月9-13日に実施したエコノミスト調査では、65%が9月のFOMCで債券購入の縮小が決定されると予想している。
ジャクソンホール22-24日にはワイオミング州ジャクソンホールでカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムが開催され、各国の中央銀行当局者らが世界経済や金融政策について議論する。
先週末時点で、S&P500種のうち相対力指数(RSI、14日間)が30を下回ったのはおよそ41銘柄と、昨年11月16日以降で最多となった。同指数が30を下回ると売られ過ぎを示唆するといわれる。
ブルームバーグのデータによれば、S&P500種の構成企業でこれまでに決算を発表した464社のうち、72%で利益がアナリスト予想を上回った。売上高が予想を上回ったのは約55%。
USトラストの最高投資責任者(CIO)、クリス・ハイジー氏は「決算期の直後かつ主要な会合前の時期であり、市場にとっては動くのが難しい静かな時期だ」と述べた。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)はこの日5.1%上げて15.10。
エネルギーが安いエネルギー株指数は1.5%下落。ニューヨーク原油先物相場は7営業日ぶりに下落。メキシコ湾岸を暴風雨が襲うとの懸念が薄れ、石油や天然ガスの生産リスクが低下した。
アパッチは4.6%安の75.37ドル。これで6営業日続落となった。スタイフェル・ニコラスはアパッチ株の投資判断を「買い」から「ホールド」に引き下げた。
金融株も安い。ジェンワース・ファイナンシャルは4.5%安の12.02ドル。JPモルガン・チェースは2.7%下げた。
インテルは1.7%高の22.28ドル。パイパー・ジャフレーはインテル株の投資判断を「アンダーウエート」から「ニュートラル」に変更し、目標株価も20ドルから22ドルに引き上げた。
エドワーズ・グループは18%高の10ドルとなった。
原題:U.S. Stocks Fall as Energy Slumps, Investors Await FedSignals(抜粋)
◎米国債:続落、2年ぶり高利回り-縮小見極めでFOMC議事録注目
米国債相場は続落。米金融当局が債券購入プログラムの縮小に踏み切るタイミングを見極めようと、市場は今週発表の前回連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録に注目している。
10年債利回りは2011年7月以来の高水準を付けた。今週後半に各国の中央銀行当局者や政策担当者らが一堂に会す、ワイオミング州ジャクソンホールの会合も注目されている。ブルームバーグが先週発表したアナリスト調査では緩和縮小の第一歩は9月に踏み出され、当初は月間の購入額を100億ドル減額して750億ドルになるというのが予想中央値となっている。7月30-31日に開催されたFOMC議事録は21日に公表される。
キャンター・フィッツジェラルドの金利ストラテジスト、ジャスティン・レデラー氏(ニューヨーク在勤)は「価格がちょっと上向くとすぐ売りが出る」と指摘。「9月縮小の感触はさらに強まっている」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回り は6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.88%。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格は15/32下げて96 23/32。利回りは一時、2.9%まで上昇した。
相場のモメンタムを測る指数に基づくと、米国債は売られ過ぎの状態にある。10年債利回りの相対力指数 (RSI、14日)は70の節目を超えている。最後にこの水準を上回っていたのは7月5日。相場はその後2週間にわたって上昇局面を迎えた。
「利回りはじりじり上昇」USバンコープ傘下のUSバンク・ウェルス・マネジメントの債券ストラテジスト、ダン・ヘックマン氏(ミズーリ州カンザスシティー在勤)は「緩和縮小について当局から何も発表されていないことが不透明感を生み、状況が把握できるまで長期債を中心に利回りがじりじり上昇する状況を作り出している」と述べた。
バーナンキ議長率いるFOMCは、米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシートを過去最大の3兆5900億ドルに膨張させた大規模債券購入をどのように終わらせるか検討している。ブルームバーグが9-13日にまとめたエコノミスト48人の調査では、2014年半ばには購入プログラムを終了するというのが予想中央値となっている。
次回FOMCは9月17-18日に予定されている。
CIBCワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債トレーディング責任者、トム・トゥッチ氏(ニューヨーク在勤)は「戦いのルールが不明な状況では、市場は小浮動を続けるだろう。当局の意図が分かるまでは、誰も市場に深くかかわりたくない」と述べた。
サマーズ氏有力21日には7月の中古住宅販売件数も発表される。エコノミストの予想中央値は年率515万戸への増加。
先週の市場で米国債相場が下落した背景には、次期FRB議長ポストにイエレン現副議長よりもラリー・サマーズ元財務長官の方が有力だという見方もあった。
ジェフリーズの金融担当チーフエコノミスト、ウォード・マッカーシー氏は16日付のリポートで、「サマーズ氏が優勢を強めているとの見方は、緩和縮小をめぐる思惑の高まりと同様に最近の債券・株式市場を圧迫している」と分析した。
原題:Treasury Yields Rise to 2-Year High Before Fed MinutesRelease(抜粋)
◎NY金:反落、2カ月ぶり高値から下げに転じる-緩和縮小観測
ニューヨーク金先物相場は反落。一時は2カ月ぶり高値となる場面もあったが、下げに転じた。米金融当局が緩和策を縮小するとの懸念を背景に、価値保存手段としての金買いが後退した。
ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査によると、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で月間850億ドルの債券購入策の縮小が決定されると予想した回答者は65%だった。前回のFOMC(7月30-31日分)の議事録は21日に公表される。
フューチャーパス・トレーディングのトレーダー、フランク・レシュ氏(シカゴ在勤)は電話インタビューで、「市場では当局が緩和縮小の開始を発表するとの憶測が広がっている」と指摘。「投資家は慎重に動いている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前週末比0.4%安の1オンス=1365.70ドルで終了。一時1384.10ドルと、中心限月としては6月18日以来の高値をつけた。
原題:Gold Drops From Two-Month High on Concern Fed May SlowStimulus(抜粋)
◎NY原油:7日ぶりに下落、暴風雨懸念が去り生産リスク低下
ニューヨーク原油先物相場は反落。メキシコ湾岸を暴風雨が襲うとの懸念が薄れ、石油や天然ガスの生産リスクが低下したことから、7営業日ぶりに下げた。
米国立ハリケーンセンターは大西洋で熱帯性低気圧は活発になっていないと発表。先週は暴風雨に備え、沖合の設備で人員を退避させたエネルギー会社もあった。ガソリン需要最盛期が終わりに近づいていることも、製油所での原油需要が減少するとの見方から、原油の売り材料となった。ニューヨーク原油はエジプトの騒乱を背景に16日まで6営業日続伸し、4月以来で最長の上昇局面となっていた。
エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「先週後半に価格を押し上げたメキシコ湾岸の暴風雨懸念は消えた」と指摘。「製油所稼働率にはすでに低下傾向が見られており、今後数週間でさらに低下するだろう。また秋にはメンテナンスのシーズンを迎える」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前営業日比36セント(0.34%)安の1バレル=107.10ドルで終了。9月限は20日に最終取引を迎える。10月限はこの日43セント下げて106.86ドル。
原題:WTI Crude Falls First Time in Seven Days as Storm ConcernFades(抜粋)
◎欧州株:下落、鉱山株と銀行株が安い-FOMC議事録に注目
19日の欧州株式 相場は下落。指標のストックス欧州600指数は前週まで週間ベースで3週続伸していた。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の21日公表を控え、米当局が量的緩和を縮小するとの観測が強まっている。
鉱山株が総じて安く、スイスのグレンコア・エクストラータは2.1%下げた。スイスのセメントメーカー、ホルシムは1年9カ月ぶりの大幅安。UBSによる投資判断引き下げが売り材料。スペインとイタリアを中心に銀行株が下落。ウニクレディトとサンタンデール銀行の下げが目立った。
ストックス欧州600指数は前週末比0.5%安の304.77で終了。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が米景気が見通し通りに改善すれば緩和縮小は可能だと示唆した5月22日以降、同指数は1.9% 下げている。
UBS(チューリヒ)のアセットアロケーション共同責任者、マーク・アンダーセン氏は「FOMC議事録が今週の大きな焦点で、米当局による緩和縮小をめぐる不透明感が相場を押し下げている」と語った。
19日の西欧市場では18カ国中15カ国で主要株価指数が下落した。
原題:European Stocks Retreat as Glencore, UniCredit Drop; KentzJumps(抜粋)
◎欧州債:イタリア債が下落、米緩和縮小観測で-英独債も下げる
19日の欧州債市場ではイタリア国債が下落し、10年債利回りは8週間ぶりの大幅上昇となった。米金融当局が緩和策を縮小するとの観測で、世界的な景気回復の見通しが暗くなったことが背景にある。
スペインとオランダ、ベルギーの国債も下げた。ドイツ連邦銀行(中央銀行)はこの日公表の月報で、欧州中央銀行(ECB)は低金利維持を言明しているものの、インフレ圧力が増せば利上げもあり得ると指摘した。ドイツ10年債 利回りは約1年5カ月ぶりの高水準に達した。21日公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、9月17-18日の次回会合で量的緩和の縮小開始が示唆されるかどうかが注目されている。
ラボバンク・インターナショナル(ロンドン)のシニア金利ストラテジスト、リチャード・マクガイア氏は「米当局が次回会合で量的緩和を縮小するとの見方を市場は強めている」とし、「こうした緩和縮小の見通しは総じてリスクにマイナスに働く。市場はファンダメンタルズ要因に敏感に反応するようになるため、周辺債のスプレッド(利回り格差)は拡大する可能性がある」と語った。
ロンドン時間午後4時49分現在、イタリア10年債利回りは前週末比9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.28%。これは6月24日以来の大きな上げ。同国債(表面利率4.5%、2023年5月償還)価格はこの日、0.72下げ102.10となった。同年限のスペイン国債利回りは5bp上げて4.41%。
ドイツ10年債利回りは2bp上昇し1.90%。一時は1.92%と、2012年3月27日以来の高水準に達した。
英国債英国債相場は6営業日続落。英産業連盟(CBI)が経済 見通しを上方修正したことを手掛かりに、安全資産を求める動きが後退した。
ロンドン時間午後4時48分現在、英10年債利回り は前週末比4bp上昇の2.75%と、11年8月8日以来の高水準となった。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格はこの日、0.33下げ92.055。
CBIは英経済成長率が今年1.2%となった後、来年は2.3%に加速するとの見通しを示した。5月に示した予測は1%と2%だった。
原題:Italian Bonds Fall With Spain’s Amid Fed TaperingSpeculation(抜粋)Gilts Slide for 6th Day After Group Raises U.K. Growth Forecasts(抜粋)
更新日時: 2013/08/20 07:05 JST