骨髄性白血病の原因、遺伝子の異常特定 京大など
骨髄性白血病の原因になる遺伝子の異常を、京都大医学研究科の小川誠司教授や東京大などのグループが新たに突き止めた。がんの診断や治療薬の開発につながる成果といい、英科学誌ネイチャー・ジェネティクスで19日発表する。
急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群などの骨髄性白血病は、国内で年間1万人以上が発症しているが、骨髄移植しか根本的な治療法はない。遺伝子の働きを調節する遺伝子や、RNAの合成に関わる遺伝子の異常が原因になることが分かっていた。
グループは、骨髄性白血病の患者610人のがん細胞の遺伝子を網羅的に解析。細胞分裂時に染色体を束ねたり、遺伝子の働きを調節している、輪ゴムのような形をしたタンパク質複合体「コヒーシン」を作る四つの遺伝子のいずれかが、約10%の割合で変異していることが分かった。コヒーシンの異常によって、骨髄性白血病が発症するらしい。
遺伝子に変異がある細胞に正常なタンパク質を入れると、細胞の異常な増殖が抑えられた。コヒーシンを作る遺伝子は「がん抑制遺伝子」として働くとみられる。
小川教授は「コヒーシンを作る遺伝子に変異があると、悪性度が高くなる。他のがんでも同様の変異がある可能性が高い」と話している。
【 2013年08月19日 02時10分 】