7月として過去最大の貿易赤字、燃料輸入増で1兆円超に (1)
8月19日(ブルームバーグ):7月の貿易統計 (速報、通関ベース)は輸出から輸入を差し引いた貿易収支が1兆円超のマイナスと事前予想を上回り、7月として過去最大の貿易赤字になった。輸出は回復傾向にあるものの、円安に加えて原発停止を受けた夏の電力需要で原粗油や液化天然ガス(LNG)の輸入が膨らんだ。
7月の輸出 は前年同月比12.2%増の5兆9620億円と5カ月連続で増えた。輸入 は19.6%増の6兆9860億円と9カ月連続増加。貿易収支(原数値)は1兆240億円の赤字となり、13カ月連続でマイナスになった。財務省が19日発表した。ブルームバーグ・ニュース調査による予想中央値は輸出が13%増、輸入は16%増。貿易収支は7735億円の赤字だった。
輸入額は7月として過去2番目の大きさ。原油が30.2%増、LNGが16.9%増といずれも大幅に伸びた。輸出は米国向けを中心に自動車輸出が増えたが、7月の貿易赤字は単月でも過去3番目の大きさになった。地域別では衣料品の輸入が多い対中国の赤字が3864億円と大きい。
バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストは7月の貿易統計についてリポートで、最も大きな赤字を見込んでいた自社予想も上回る赤字として「円安によっても輸入金額が増加している点がうかがわれる」と記した。これは先行きの貿易収支の下押し要因になると指摘している。
また大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストはレポートで、輸出の先行きについて「米国を中心として世界経済の回復と、昨年末からの円安効果の顕在化で増加傾向が続く」と予想。7月は輸出数量が1.8%増と14カ月ぶりに増加に転じており、貿易収支の「赤字幅は徐々に縮小していく公算」との見方を示している。
7月の輸出は米国向けが18.4%増と4カ月連続で2けた台の伸びを示したほか、6月から黒字に転じた欧州連合(EU)向けも16.6%増だった。一方でアジア向けは9.1%増、中国向けは9.5%増にとどまった。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/08/19 12:39 JST