桐生いじめ自殺:いじめの存在認める 証人尋問で校長
2013年08月10日
桐生市立新里東小6年の上村明子さん(当時12歳)が2010年10月に自殺したのは学校側がいじめに適切に対応しなかったためとして、両親が市と県を相手取り計3200万円の損害賠償を求めた訴訟の第7回口頭弁論が9日、前橋地裁(原道子裁判長)であり、当時の校長や5年時の担任、学校カウンセラーの計3人に対する証人尋問が行われた。
カウンセラーによると、小学5年の6月、明子さんの母親から、妹とのけんかが激しいことなどについて相談があった。その際に、学校で「くさい」「きもい」などと言われるので転校したがっているという話も出たが、これらは校長や担任らに報告し、詳しい聞き取りは行わなかったという。相談内容について担任は「『くさい』は覚えているが『転校したい』は記憶にない」と証言。校長は「記憶がはっきりしていない」と述べた。
5年時の担任は、明子さんについて、遅刻や欠席が多かったが、3学期から改善したと説明。両親から「直接会って相談したいと言うことやいじめられているという話をされたことはない」と語った。
当時の校長は、明子さんが一人で給食を食べていたことなどからいじめの存在を認めた。一方で、運動会や修学旅行などの学校での様子から「自殺を予測することはできなかった」と述べた。
閉廷後に行われた原告側の集会には、大津市立中学2年の男子生徒の自殺を巡る損賠訴訟で、遺族側の代理人を務めている石川賢治弁護士(滋賀弁護士会所属)が参加。大津市の訴訟の進行状況を報告したほか、傍聴した今回の口頭弁論について、「(学校側が)早い段階からいじめを認識していたという重要な証言が得られたのではないか」と感想を述べた。【角田直哉、塩田彩】