英国:原発「解体先進国」 稼働26年、廃炉に90年

毎日新聞 2013年08月19日 07時16分(最終更新 08月19日 09時33分)

原発の最上階では巨大な足場が組まれ、建屋上部の壁を取り壊す作業が始まっていた=英ウェールズ・グウィネズのトロースフィニッド発電所で、坂井隆之撮影
原発の最上階では巨大な足場が組まれ、建屋上部の壁を取り壊す作業が始まっていた=英ウェールズ・グウィネズのトロースフィニッド発電所で、坂井隆之撮影
グウィネズの地図
グウィネズの地図

 世界で最も廃炉作業が進む原子力発電所の一つ、英ウェールズ地方のトロースフィニッド発電所(出力23.5万キロワット、炭酸ガス冷却炉、2基)の作業現場に入った。1993年の作業開始から20年。責任者は「既に99%の放射性物質を除去した」と説明するが、施設を完全に解体し終えるまでになお70年の歳月を要する。「想像以上に時間とコストのかかる作業」(作業責任者)を目の当たりにし、日本が今後、直面する道の険しさを思い知らされた。【グウィネズ(英ウェールズ西部)で小倉孝保、坂井隆之】

 青く輝く人工湖沿いに、原子炉を覆う武骨なコンクリート建屋が2棟並んでいる。作業を担当するマグノックス社の指示に従い、ヘルメットをかぶり、目を保護する特製眼鏡をかけた。2011年3月の東京電力福島第1原発事故以降、日本のメディアがこの廃炉現場に立ち入りを許されたのは初めてだ。

 原子炉建屋に入ると目の前に焦げ茶色の巨大な金属筒があった。稼働中、発電タービンを動かす蒸気を発生させるために使われていたボイラーの一部だという。

 エレベーターで建屋の最上階に上がる。原子炉の真上にあたる巨大なホールのような空間の壁に沿って足場が組まれ、作業員が慎重な手つきで建屋の上部を取り壊すための準備作業を進めていた。建屋全体の高さを約53メートルから約30メートルまで下げ、廃炉完了まで長期間、コンクリート壁の安定性を保つのが目的だ。

 65年に運転を開始し、91年に停止した。原子炉の使用済み核燃料(燃料棒)は95年に取り出されたが、圧力容器周辺や中間貯蔵施設内の低レベル放射性物質の放射線量は依然高い。このため2026年にいったん作業を中断し、放射線量が下がるのを待って73年に廃棄物の最終処分など廃炉作業の最終段階に着手する。

 「初期に建設された原発は将来の廃炉を想定して設計されていない。初めて経験することが多く、手探りの作業だ」とベルショー計画部長は語る。

 原子炉建屋に隣接する放射性汚染水浄化装置(長さ33メートル、幅5メートル、高さ6メートル)では除染作業が行われていた。燃料棒冷却や除染作業で発生した汚染水はすでに抜かれている。別室から遠隔操作する工作機(重量5トン)3機が装置内部の汚染された壁をゆっくりと削り取っていく。

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