パリの性具店で販売されているオーガニック性具(2013年8月2日撮影)。(c)AFP/BERTRAND GUAY
【8月17日 AFP】フランス人は長らくその性的能力の高さを自慢してきたが、環境にやさしい素材のコンドームや、バイブレーターのリサイクルサービスなどを提供する新たな起業家たちは、環境重視の顧客をオーガニック・エクスタシーのさらなる高みにいざなおうとしている。
■オーガニック認証取得の国産エロチック・コスメ
フレデリック・ドナ(Frederic Donnat)氏は2年前、100%オーガニックの「エロチック・コスメ」ラインの最初の製品を発売した際、「通常の美容品市場よりも興味深い」市場の隙間を見つけたと感じた。オンライン事業で「エコ・エロチック」製品に集中してからというもの、ドナ氏の「Divinextases」の売り上げは3倍の45万ユーロ(約5900万円)に増加し、同ブランドはフランス全国規模のオーガニック認証機関のお墨付きを受けた。
Divinextases製品は、香水から、スパンキングでヒリヒリする臀部(でんぶ)のための軟こうまで全てフランス製。信頼できる調達先からの持続可能な素材を用いて製造されている。ヤシ油の代わりに蜜ろうやシアバターが用いられ、再生可能素材が包装に使われている。
■バイアグラ不使用、オーガニックな催淫剤
「愛を大切に」というのが、享楽を高めるために「1回限りまたは定期的なセラピーとして(セックスの)30分から1時間前」に服用するオーガニック錠剤を製造するLaboratoires Claudeのモットーだ。
同社の錠剤は薬局やオーガニック店、ポルノショップなどで販売されている。国内市場で唯一の市場参入者といえる同社は現在、催淫剤の含まれた紅茶や砂糖などへの事業の多角化と、販売網の拡充を目指している。
同社の製品は従来型の催淫薬などの成分に不安を感じる顧客から人気があり、ディレクターのフルー・フェリポー(Fleur Phelipeau)氏は、2104年に売り上げ300%増を見込んでいるという。
「市場に出回っている製品の8割にはバイアグラが含まれている。バイアグラは高齢男性には危険な場合もある」と、フェリポー氏は述べ、Laboratoires Claudeの販売する錠剤ではオーガニック植物のみが使われていると強調した。
■森林保護する性具、太陽光発電のバイブレーターも検討
森林保護に取り組むことで、環境重視の顧客の注目を集めようとするブランドも多い。
英企業フレンチレター(French Letter)は、持続可能な森林で生産された天然ラテックスを使ったカーボンニュートラルなコンドームを販売している。カーボンニュートラルは、製品の製造から廃棄までで二酸化炭素排出量と吸収量の収支がゼロになることを指す。
一方、フランスのウェブサイト「arbredesplaisirs.com(快楽の森)」は、アダルトグッズが1個販売されるごとに1本の木をアマゾンの熱帯雨林に植林することを約束して大きな注目を集めた。また同サイトでは使い古したバイブレーターのリサイクルサービスも行っている。
さらに、アダルトグッズを支えるテクノロジーもグリーンに生まれ変わっている。
フランスを拠点とするPassage du Desirは昨年、バイブレーター用の充電電池を発表。同社の売り上げが「性愛関連の製品」により20%増加したことを受け、同社の社長は新たに「太陽光発電のバイブレーター」の検討を始めている。
フランスのエコ・エロチック起業家たちは、「意識の高いセックス」はよく売れると確信しているようだ。(c)AFP/Anne Padieu