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  • No.5901

    中小企業、新卒確保に試練の夏 大手の採用増で苦戦

    redkimichin
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    2013/08/19 06:47

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     2014年大卒の採用で中小企業が苦戦している。大手が採用数を増やした反動で、中小を志望する学生が減少。予定した人数を確保できない中小が増えている。景況感が回復し、採用数を増やそうとする企業は多い。入社後の研修の手厚さをアピールしたり、大学で出張会社説明会を開いたりして学生を振り向かせ、人材確保につなげようと懸命だ。

     埼玉県内の中堅ゼネコン(総合建設会社)、古郡建設(埼玉県深谷市、古郡栄一社長)は14年卒の大学生を約10人採用する予定だったが、足元で採用を決められたのは半数程度にとどまる。

     例年学生を採用している大学の就職課や教授を訪れたところ「今年は紹介できる学生はいない。みな大手企業に就職が決まった」と言われた。受注量が増えており、人手不足を見込んで今年は採用人数を昨年より3人増やす予定だった。

     全国の中小企業の採用支援を手がけるエン・ジャパンによると、7月時点で「採用環境が前年より厳しい」「とても厳しい」と答えた中小企業の割合は44.7%と前年同月より9ポイント増加。6月時点で内定を出した新卒の数が計画の4割未満だった企業の割合も6ポイント増の35.5%に拡大した。

     中小の苦戦は採用数を増やすなどした大手の影響が大きい。就職情報サービスのリクルートキャリア(東京・千代田)がまとめた14年3月卒業見込みの大学生の就職内定率(7月1日時点)は65%と前年同月比6.5ポイント上昇。大手が学生を囲い込むために4月初めに内定を出すなどした結果、早々に就職活動を終える学生が増え、夏に本番を迎える中小の採用活動は困難に直面している。

     「学生が集まらず、今年の採用はほぼあきらめた。来年に出直す」(埼玉県狭山市のモーター製作会社)と、早くも15年卒の新卒採用に挽回を期す企業も出てきている。

     だが、中小もただ手をこまぬいているだけではない。選考や入社後の育成法などを工夫し、着実に人材確保につなげている例もある。

     工業用シールメーカーのタンケンシールセーコウ(東京・大田、渡辺敏広社長)はここ10年間、採用予定人数を確保している。採用まで筆記試験や面接を5回実施し人物や適性を見極めたうえで、入社後3年間は年齢の近い先輩が指導役としてつきっきりで対応する。入社10年後の定着率も9割と高い。

     ジャスダック上場の宅配サイト運営会社、夢の街創造委員会は毎年数人を新卒採用しており、今年の採用活動は例年よりも順調だという。大学に出向いて小まめに会社説明会を開いたほか、来社した学生に自社の宅配サイト「出前館」を使って食事を注文してもらい、それを食べながら会社の事業内容を説明するなど親近感を持ってもらう工夫が奏功した。

     リクルートキャリアの岡崎仁美リクナビ編集長は「最近の学生は会社の雰囲気や研修の充実ぶりを重視している。経営方針や育成制度を詳しく説明して学生の理解が深まれば、知名度の低い企業でも採用できるチャンスは増える」と話す。

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