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'13/8/18

球場の愛称は変更?固定?



 広島市南区の広島東洋カープの本拠地、マツダスタジアム(広島市民球場)。広島に拠点を置く自動車メーカー、マツダが命名権を取得し愛称を付けている。その契約期間が来年3月で切れるため、市は新たな購入者を公募中だ。締め切りは21日。5年で10億円以上の命名権収入は球場の維持修繕費に充てる。せっかく定着した愛称が変わる可能性のある制度には、市民やファンの間にさまざまな意見がある。

 9日の巨人戦、マツダスタジアムは約3万人で埋まった。ユニホーム姿で声援を送った西区の会社員(30)は「愛称は市民に定着しているし、広島県外の人にも親しみを持ってもらえる。球場名は固定した方がいい」との考えだ。

 一方、「楽しく快適に応援できれば、名前は関係ない」と話すのは、中区の男性(46)。命名権制度に伴う名称変更に理解を示す。

 「市民球団」の歴史を誇るカープの新しい本拠地として2009年3月に完成した市民球場。財政難の市は30年間で65億円を見込む維持修繕費を賄うため命名権制度を導入した。

 マツダと地場流通大手のイズミ(南区)が名乗りを上げ、年3億円、5年15億円でマツダが取得。愛称を「MAZDA Zoom―Zoom スタジアム広島」(略称マツダスタジアム)とした。

 来年4月から5年間の命名権は年2億円以上が条件。市幹部による選考委員会が応募者の提案を100点満点で評価し、購入者を9月上旬に発表する。内訳は、契約希望額50点▽経営状況など適格性30点▽名称20点。市都市機能調整部は「提示金額が高くても名称がカープの本拠地にふさわしくなかったり、市民が親しみを感じにくかったりしたら評価は下がる」とする。

 命名権に詳しい明治学院大の川上和久教授(戦略コミュニケーション論)はマツダスタジアムを「地元密着の企業が取得し、浸透している」とした上で、「取得企業は宣伝効果だけでなく、市民とともに親しみある名前に育てる姿勢が必要だ」と指摘する。

【写真説明】広島市が来年4月から5年間の命名権の購入者を公募しているマツダスタジアム




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