ETV番組への政治介入問題 「NHK受信料支払い停止運動の会」が緊急の申し入れ 「意見広告の会」ニュース345より(2006.5.29)

 

 

目次

(1)ETV番組への政治介入問題 「NHK受信料支払い停止運動の会」が緊急の申し入れ 「意見広告の会」ニュース345より

(2)改変問題で告発のCP 放送文化研究所に異動 処分?NHK局内で憶測 『東京新聞』2006年5月28日付

 

資料

表現の自由を侵害した政治家の介入と、NHKの偽証を断じて許さない!! −徹底した真相究明とNHKの明確な責任を求める!!− VAWW-NETジャパン抗議声明(2005.1.12)

NHK番組改ざんの裏に“検閲” 従軍慰安婦放送「やめてしまえ」 安倍官房副長官(当時)、中川議員が圧力「しんぶん赤旗」(2005.1.13)
NHKの内部告発者を守れ 澤藤統一郎の事務局長日記 (2005.1.13)
NHK従軍慰安婦番組への政治介入問題 「このまま出したら皆さんとはお別れ」 『しんぶん赤旗』 2005年1月16日(日)付(2005.1.16)
阿倍晋三氏の事実歪曲発言について 戦争と女性への暴力日本ネットワーク (2005.1.17)
NHK番組問題 報告書をみる 政治介入の日常化浮かぶ 「しんぶん赤旗」(2005.1.21)

 

 

(1)ETV番組への政治介入問題

      「NHK受信料支払い停止運動の会」が緊急の申し入れ

                           

2006年5月26日

 

NHK会長 橋本元一 様

NHK理事 各位

 

 永田浩三氏、長井暁氏に対する不当な人事異動を止めるよう求める

緊急の申し入れ

 

NHK受信料支払い停止運動の会

共同代表 醍醐 聰

細井明美

  電話:048−873−3520(会事務局)

03−5841−5513(醍醐宛)

 

 

 この数日の間に私たちが得た情報によれば、NHKは本日、発表する幹部職員の人事

異動の内示の中で、VAWW−NET裁判の公判でNHKの主張と異なる証言をした永

田浩三氏とETV番組への政治家の介入を告発した長井暁氏を番組制作現場からはずす

という不利益な異動が実施される恐れがあるとのことです。

 この問題については、さる3月30日に開催された参議院総務委員会におけるNHK予算

審議の場で、山本順三議員が両氏の人事上の処分を迫る質問をしたのに対して、橋本会

長が「この職員についての人事上の扱いについては、適切に対処したい」と答弁された

経緯があります。

 こうしたやりとりについて、当会は去る4月12日付けで橋本会長に対して申し入れ書

を提出し、その中で次のような見解を示しました。

 1.国会審議の場で、係争中の裁判の公判で証人が行った発言について国会議員が予

断を交えた言及をするのは、司法に対する行政の不当な介入であり、厳しい批判を免れ

ないこと。

 2.永田浩三氏、長井暁氏の人事上の処分を迫ったに等しい山本議員の発言は放送法

第3条で禁じられたNHKの自主自律に対するあからさまな干渉であること。

 

 こうした見解を踏まえて、当会は橋本会長に対し、政治家の不当な干渉におもねて

永田浩三、長井暁両氏に人事上その他の面で不利益な処分を一切しないよう申し入れ

した。

 そもそも、永田氏の証言、長井氏の告発は長い期間にわたる苦渋の末に、番組制作に

携わった報道人の良心をよりどころにして行われた公共放送の使命を守るがための訴え

です。NHKが組織防衛的な発想から、こうした良心の訴えを押さえ込み、処分の対象

にするとしたら、NHKの良識に対する視聴者の信頼が大きく崩れるのは必至です。

 私たちは、橋本会長ほかNHKの全理事の皆様に対して、永田、長井両氏について、

定期的な人事異動を隠れ蓑にした事実上の「報復人事」を行うことがないよう改めて強

く申し入れます。

 万一、こうした申し入れを無視して、永田、長井両氏に対し、不当な人事が強行され

た場合、私たちは当会の賛同者、先に行った「受信料督促ホットライン」でつながりを

持った視聴者、その他全国の視聴者に呼びかけて、強力な抗議行動を起こす決意でいる

ことを通告します。

以上

 

 

(2)改変問題で告発のCP 放送文化研究所に異動 処分?NHK局内で憶測 『東京新聞』2006年5月28日付

 

 NHKの番組が政治的圧力で改変されたとされる問題で昨年一月、「改変だったのは間違いない」などと内部告発したNHK番組制作局の長井暁チーフプロデューサー(CP)が六月五日付の人事で、放送文化研究所(東京都港区愛宕)に異動する。

 番組改変問題を受けて長井氏は一人で記者会見を開き、「海老沢(前会長の)体制になって、政治介入がさかんに起きるようになった」などと涙ながらに訴えた。

 もともと長井氏は「NHKスペシャル」の「街道を行く」や「四大文明」など教養番組が専門のプロデューサー。告発後も放送八十周年プロジェクトに参加し、「世界遺産100」を制作するなどしていた。

 異動先の放送文化研究所は、視聴時間の調査をしたり、放送業界の動向を伝える月刊誌を編集したりしている。

 今回の人事についてNHKは「処分的な異動ではない」と説明。別のNHK関係者も、「放送八十周年プロジェクトが解散したことや、組織改編を考えると普通の異動」と受け流しているが、額面通り受け取らない職員もおり、さまざまな憶測を呼んでいる。