当方編集長逢阪は都合あって名古屋圏に約7年程住んでいた時期もあり、その間は愛知県や岐阜県などで珍スポットや変な店を回っていたこともあったのだが、長年写真だけは撮り溜めているにも関わらず全く吐き出せていない現状がある。
あの愛知万博の翌年に名古屋を離れる事になったのだが、それまでは随分中部地方の各所を回ってきた。その記録を綴ろうと思う。
東京、大阪に次ぐ日本第三の都市圏と常々言われる名古屋だが、その名古屋を代表する一大ターミナル「名古屋駅」の裏手がすこぶる怪しい。
JRセントラルタワーズやトヨタビルなど愛知万博前後で急激な変化を見せた名古屋駅だがその裏手に出ると相変わらず雑多で汚らしいビル街が目立つ。
新幹線乗り場に近い名古屋駅太閤通口(西口)はおおよそ日本を代表する三大都市の駅前とは思えない風景が残っている。
写真単体ではもはや西成釜ヶ崎のそれと見紛うばかりに崩壊寸前の看板と店構えを持つ大衆食堂の存在。一帯この界隈はどないなっとるねん。
注意深く周辺のビル街を眺めると「宿泊2100円」と書かれたネオンサインの存在が見えた。2100円とは妙に安い。
そう、名古屋駅の裏手はドヤ街だったのだ。
大阪では西成釜ヶ崎、東京では山谷、横浜では寿町とあるように、ここ名古屋のドヤ街として発展してきた「笹島」と呼ばれる一帯。
笹島とは一般的には名古屋駅南側のレジャービル名鉄レジャックがある交差点のことを呼ぶが現在も関係者の中では象徴的にこの一帯のドヤ街が「笹島」と呼ばれている。
よく見ると安宿ばかりではなくファッションヘルスや焼肉屋などが立ち並びどう見ても在日朝鮮人街としか思えない怪しげな景色を見せるDEEPゾーンでもあるのだ。恐るべし名古屋駅裏。
名古屋駅の南側を東西に走る太閤通沿いにはイオ信用組合という元朝銀系在日コリアン金融機関の存在もある。この界隈を中心にドヤ街的な安宿が立ち並んでいるのだ。
名古屋のドヤの特徴は「サラリーマンホテル」と書かれた看板を掲げている事が挙げられる。確かに日雇い労働者がもらうのもサラリーだが、スーツを着た人がサラリーマンだという固定観念のイメージに合わず苦笑してしまう。
サラリーマンホテルの建物を横から見ると、いかにもドヤだなあ、と思わせる小さな窓が沢山並んだ独特のビル。
名古屋はそもそもブルーカラーの街だから、肉体労働系の仕事に従事する者が多い。地域柄、現場勤務でも「サラリーマン」で通じるのだろう。多分。
しかし2008年秋以降の不況はトヨタショックという現象でこの地方に重い影を忍ばせている。名古屋駅周辺でもネットカフェ難民が夜な夜な徘徊しまくっていて大変なんだとか。
笹島の安宿、価格帯はだいたい2千円以下である。もっとも「聖地」である大阪西成釜ヶ崎と比べるとドヤの絶対数も少なく、あいりんセンターのような象徴的施設も見当たらない。しかし定住者も多いようでドヤの各所からはそこはかとなく生活臭が漂っている。
釜ヶ崎や山谷であれば日中から道端でオッサンどもが酒盛りしたり路上でぶっ倒れていたりするのがデフォルトだが笹島ではそこまで極端な風景を見る事はない。
ただ公園がホームレス村化していたり、やはりここはドヤ街なのだということを思わせる。
他、名古屋でホームレスが多いのは栄と大須の間にある若宮大通の名古屋高速高架下や白川公園、名古屋城に隣接する「名城公園」などが挙げられる。折りしもの不況で製造業が大打撃を受け、愛知県の地盤沈下の激しさは著しい。普通の労働者でも愛知から逃げ出しているというのに、もっとも立場の弱いホームレス軍団の前途は多難だ。
さらに派遣切りにあって職や家を失った労働者がホームレス収容施設もあり福祉の比較的充実する名古屋市内へと誘導されるケースも多発している(→詳細)
ドヤに混じって風俗店があるというのも笹島の特徴。住む所と遊ぶ所が一緒なんですね。非常にわかりやすいです。
ファッションヘルスやラブホテルばかりが目立つ名古屋駅裏、当然にように精力剤専門「あかひげ薬局」の存在もある。貧民街であるからこそ性風俗が栄える。セックスは金のかからない娯楽からだ。それはもっともパートナーがいればの話であるが。
笹島ドヤ街でも一部普通のホテルが混じっている。「ビジネスホテル」は高級扱いだがそのホテルの名前が「新世界」とは笑わせる。一泊4500円...
場所柄、東京や大阪もすぐに出られる場所にあるのでこれらのホテル街が総じて繁盛しているようには見えないのが特徴的。愛知万博の時がピークだったのかも知れないな。
ファッションヘルス街、コリアタウン、元遊郭...名古屋駅裏はまだまだ伝えなければならないDEEPスポットがある。近い将来公開するかも知れない。お楽しみに。