韓国の場合、サムスンなどの好業績の裏で誰が損をしていたのかといえば、もちろん韓国国民だ。何しろ、リーマンショック以降の李明博政権は、ウォン安(韓国国民が輸入物価上昇で損をする)、大手企業の購買力を利用した売上原価の削減(韓国の下請け企業が損をする)、派遣社員拡大による人件費圧縮(従業員である韓国国民が損をする)、さらに法人税の減免措置(韓国政府、ひいては韓国国民が損をする)により、大手輸出企業に経済を牽引させる政策を採った。サムスンなど、一部の韓国企業の業績が改善して、当たり前だ。そもそも、韓国の家電市場や自動車市場は、サムスン電子、LG電子、現代自動車など少数企業による寡占構造になっている。国内市場が寡占化すると、当然ながら市場競争が弱まり、国内の消費者は「高い買い物」をさせられることになる。またまた、韓国国民が損をするという話である。続きは月刊正論9月号でお読みください
三橋 貴明氏 昭和44(1969)年、熊本県で生まれる。東京都立大学(現首都大学東京)経済学部卒。外資系企業などをへて、平成20年に三橋貴明中小企業診断士事務所を開設、フリーランスの評論活動を開始。近著に『日本大復活の真相』『いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由』『反動世代−日本の政治を取り戻す』(中野剛志らとの共著)。