2回の爆発 ガソリンに引火か8月16日 19時13分
15日夜、京都府福知山市の花火大会の会場で起きた爆発事故で、現場では2回にわたって爆発が起き、いずれも露店の自家発電機の燃料として使われていたガソリンに引火して起きた可能性の高いことが、消防への取材で分かりました。
警察と消防は、露店の店主のガソリンの取り扱いに問題があったとみて、事故当時の状況をさらに詳しく調べています。
15日夜、京都府福知山市の花火大会の会場で起きた爆発事故では、見物客など60人がけがをして、このうち3人が重いやけどをし、全身にやけどを負った13歳の少年が意識不明の重体になっています。
警察と消防は16日、爆発が起きた露店の周辺を中心に、一部が焦げた露店の自家発電機や予備の燃料を入れる携行缶の写真を撮るなどして、事故の詳しい状況を調べました。
警察や消防によりますと、爆発は河川敷の営業していた露店で最初に起き、その後、隣の露店付近で2回目の爆発が起きたということですが、消防が爆発の様子を写した映像を詳しく分析したところ、いずれも気化したガソリンが激しく燃える時に特有の炎が確認されたということです。
また、調べでは、現場に置かれていたプロパンガスのボンベに損傷はなかったということです。
消防は、2回の爆発はいずれも露店の自家発電機の燃料として使われていたガソリンに引火して起きた可能性が高いとみて、調べを進めています。
また警察は、業務上過失傷害の疑いで捜査するとともに、現場で自家発電機のタンクからガソリンが霧状になって噴き出した様子が目撃されていることから、露店の店主のガソリンの取り扱いに問題があったとみて、事故当時の状況をさらに詳しく調べています。
一瞬にして地獄のように
花火を見に来ていた76歳の男性は「事故が起きる前は、河川敷にたくさんの出店が出て大勢の人が集まり、にぎやかな雰囲気だった。しかし突然、炎と煙が上がり、その3、4分後にはどーんという大きな音がして火柱が上がった。服が燃えている人や『痛い、痛い』と叫ぶ人などが多く出て、現場は一瞬にして地獄のように変わってしまった。とても怖かった。みんなが楽しみにしていた花火大会でこんなことが起きて残念です」と話していました。
なぜ容器から噴き出したのか
今回の爆発事故では、複数の目撃者が自家発電機の燃料が容器から霧状に噴き出したのを見たと話しているほか、消防も、ガソリンなどの液体が霧状になったものが激しく燃えたとみられるとしています。
なぜ燃料が容器から噴き出したのか。
京都市消防局の担当者によりますと、ガソリンなどの燃料は液体から気化しやすく、常温で密閉された容器の中では常に一部が気体になった状態にあり、容器の内部の圧力が外側よりも高くなっているということです。
容器のふたを急に開けると、燃料が中から外に噴き出すおそれがあるということです。
このため容器には、まず初めに圧力を調整するためのねじを開いてから、ふたをゆっくり開けるよう注意書きが記されています。
また、温度が高いほど燃料が気体になりやすくなり容器の中の圧力も上がるため、日陰などなるべく涼しいところに保管する必要があるとしています。
露天の男性「じょうろでガソリン入れた」
京都府綾部市の綾部市立病院の医師は、手当てをしたけが人の中に火が出たとみられる露店の男性がいて、「じょうろのようなもので発電機にガソリンを入れていた」と話していたことを明らかにしました。
「綾部市立病院」皮膚科の辻正孝医長によりますと、15日夜の爆発事故で、病院には重傷の患者など10人が搬送され、この中には火が出たとみられる露店の男性もいたということです。
男性は、両腕に大やけどを負い、今は別の病院に移って入院しているということです。
辻医長はNHKの取材に対し、「男性は痛みでほとんど話せない状態だったが、『自分がじょうろのようなもので発電機に直接ガソリンを入れていた』と話していた」と述べました。
一方、爆発事故の現場を見た京都府内のLPガス業者で作る「京都府エルピーガス協会」の担当者は、「LPガスのタンク自体は爆発していないことを確認した」と話しました。
そのうえで「現場に3つあったLPガスタンクのうち1つのタンクでホースなどが焦げていたため、中に入っているガスが漏れていたことは十分考えられる」と話しました。
各地で緊急の対応相次ぐ
花火大会の会場での爆発事故を受けて、京都府は、今後府内で開かれる花火大会の主催者に対し、緊急の注意喚起を行いました。
具体的には、露天商の火の安全な取り扱いの徹底と、花火大会を実施するうえでの安全管理、それに救急車など緊急車両の動線の確保の3点について、文書や口頭で注意を促したということです。
また、各地の花火大会の会場では、露天の防火体制の緊急点検などが行われました。
16日夜に花火大会が開かれる山梨県韮崎市の釜無川の河川敷の会場では、市や消防の職員10人ほどが出て、午後からおよそ50ある露店の緊急点検を行いました。
初めに消防署の職員がLPガスのボンベやホースに異常がないか確認しました。
そのあと、発電機に給油する際は停止してから行うことや、近くに燃えるものを置かないなど、注意点を書いたチラシを手渡して、火の取り扱いに十分注意するよう指導していました。
一方、神奈川県箱根町の観光協会では、16日夜に開かれる夏祭りで、露店などが使用する発電機を観光協会が用意したものに限定し、消火器を配備する安全対策を取りました。
また、発電機に給油する際は電源を切って安全を確認してから行うよう、露店商に呼びかけました。
調理にプロパンガスを使用する露店にも消火器を配備し、ガスボンベが倒れないようひもで固定する対策も取りました。
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