神戸市では孤児２世が中心となり、行政に共同墓地の設置を働きかけようという動きが出ている。日本中国友好協会兵庫県連合会の上田雅美事務局長は「多くの孤児は公的な支援で月１５万円ほどで暮らしており、墓を建てるのは資金面から困難だ。孤児２世にも言葉の壁があり、大半が収入が少ない仕事にしか就けていない」と指摘。「墓を用意できない多くの人たちに、行政の力も借りて、祖国で安眠できる場所を与えてやりたい」と語る。【岡村崇】

　【ことば】中国残留孤児

　第二次大戦の終戦時、旧満州で肉親と離別して孤児となった日本人。国は１９８１年に訪日調査を開始。２０００年以降は孤児らの高齢化などに配慮し、日中共同の調査をして、肉親情報がなくても永住帰国できるようになった。孤児らの多くは生活保護を受けていたが、国は０８年度から生活支援給付金を支給し、老齢基礎年金との併給も認めた。日中国交正常化以降、永住帰国した残留孤児・婦人は６６９９人（６月末現在）。