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コチラに記載された内容の悪用・実践を固く禁じます。 ルパン三世の犯罪学講座
俺に「犯罪学」について語って欲しい、ってのはあんたかい? ふーん……なあ、あんた「犯罪学」って、自分で分かってて言ってっか? 「犯罪学」ってのは、要は犯罪の原因を探ることで犯罪を防止しましょうっていう、表向きは聞こえのイイ学問だ。だがな、犯罪学なんてもんは、所詮『机上の空論』さ。こんなもん勉強して犯罪が無くなるんだったら、警察なんていらねえよな。 何、それでもイイって? 言っとくが、仕事のテクニックだとか変装の方法だとか、そういうのは企業秘密だ。 仕事に差し障りのねえ範囲で構わねえ。こいつが条件だ。 さーて、それじゃ今日はちっと血なまぐさいが、『殺しの理由』について話すとすっか。
<利欲殺人> 世間で一番多い『殺し』のパターンだよな。いわゆる金目当てってやつさ。 金目当ての殺しといえば、あんたは何を想像する?何、強盗殺人? 素人さんの殺しで一番多いのがこのパターンだよな。仕事に入った家で住人とバッタリ、焦った挙げ句に殺っちまった…なーんてな。あるいはカッコつけて銀行に押し入ったはいいが、勢い余って殺っちまった、とかよ。最初っから殺るつもりなんかねえのさ、金さえ頂けりゃ良いわけだからな。だが、素人さんってのは上手く仕事を終わらせるって自信、これっぽっちもねえからな。だから、すーぐナイフや飛び道具をちらつかせやがる。ああいうもんで脅して、手っ取り早く頂いて逃げっちまおう、ってな。だから、相手が予想外の反撃に出られると焦って、ついつい殺っちまう。『殺すつもりはありませんでした』って言い訳が一番多いのも、このパターンだって言うけどな。本当の所は知らねえが。 さあ、他には何を思いつく?身代金目当ての誘拐殺人ってのがあるな。まったく、ガキを誘拐した挙げ句殺しちまうなんざ、犯罪者の風上にもおけねえ奴だよな。ああいうのは大体、『騒いだから殺った』って言い訳が相場だけっどな。見も知らねえ野郎共に連れ去られた挙げ句、逃げられねえようにがんじがらめに縛られりゃ、泣かねえ方がオカシイだろ。これが女になると、野郎にいいように弄ばれるってオマケが付くことが多いよな。ついでに言やあ、身代金受け渡しの現場にゃ大抵サツが張り込んでっからな、その道のプロでもねえ限り、十中八九、この時点で『御用』となる。ハイリスク・ハイリターンってやつさ。 身代金目的と言やあ、他に略取殺人ってのもある。何、略取って意味が分かんねえ? 略取と誘拐、どっちも身代金目当てって点じゃ同じだ。けどな、この二つ、何が違うかってぇと、誘拐は相手を騙したり誘惑したりして連れ去るだろ?ホラ、昔親に言われなかったかぁ?『あめ玉もらって、知らないおじちゃんに付いてっちゃいけません』ってさ。子供にとってあめ玉ってのは誘惑さ。もっとも、今のガキはあめ玉や遊園地ぐらいじゃ付いて行かねえだろうけっどな、ハハハ。 それに対して、略取ってのは相手を脅して連れ去るやり方の事だ。ここら辺が誘拐とは違う所さ。脅迫だろうが暴力だろうが、要は相手をビビらせりゃイイ。それでビビって抵抗する気力を無くした所で拉致って行っちまう、って訳さ。コイツもハイリスク・ハイリターンだから、上手いこと身代金を頂こうとか、素人さんは考えない方がイイぜ。 ああ、それから保険金殺人ってのがあったな。和歌山の青酸カレー事件、覚えてるヤツも多いだろ?あれを企んだのはオバサンだったが、別に珍しいことじゃねえ。保険金殺人なんて事を考えるのは、大抵女さ。女は男と違って、腕っ節にモノ言わせる事が出来ねえからな。で、こういう事を考えるのさ。もっとも、最近はなまっちろい野郎も増えてきてっからなぁ。ま、保険金殺人なんて姑息な事を考える野郎は大したヤツじゃねえけっどな。 それに比べて、最近は強盗殺人の一つや二つ、全然平気ってお嬢さんもいるからなぁ。別に構わねえけっどよ、あんまり荒っぽいのもどうかと思うぜ。そう思わねえか?
<葛藤殺人> こいつも多いよな。素人さんの『殺しの理由』としては、金目当てと並ぶんじゃねえのか?葛藤殺人ってのは早い話、感情のもつれってヤツ。 感情のもつれって聞けば、なーんとなく分かるだろ?そ、嫉妬とか三角関係とか、別れ話のもつれ、夫婦喧嘩に心中。別に男と女の間に限った事じゃねえ。クラスメイトとか、会社の上司とか、はたまたご近所さん、嫁姑問題・・・・色々あんだろ?誰にだってある事さ。そいつがエスカレートしちまったってヤツ。『殺しても殺し足らない』ってな。ホラ、あんただって大嫌いな上司や先生の1人や2人、いるんじゃねえの? けどまあ普通は理性って奴が働くからな、殺すまではいかねえワケ。せいぜいが、気にくわねえ上司にそっけなくしたりとか、教師の授業を無視して携帯で遊んでたりとか、その程度じゃねえの?長年働いてきたサラリーマンなら上司に対する積もった恨みってのもあるかもしんねえが、ココ読んでるあんたは、そんな年齢じゃねえだろ?別に一生を共にする訳じゃねえんだ、上司や教師、あるいは同僚、なんてな。気にくわなきゃ、顔を合わせねえようにすりゃイイだけの話さ。 けっどな、そうもいかねえのが男と女の仲って奴よ。俺と不二子ちゃんみたいに割り切って考えられればいいけっどもな、ココに意地とかプライドとか、そういうモンが絡んでくっから話がもつれっちまう。一度もつれた糸が簡単にほどけねえのと同じで、もつれた話に積もり積もった想いだとか、そういうモンが複雑に絡まって、修復不可能な関係になっちまう。そんな状態でどっちかが爆発すると、こういう事になるって訳さ。
<衝動殺人> これがキッカケでコッチ、裏の世界に来ちまったって野郎、多いんだよな。衝動殺人ってのは文字通り、カッとなって衝動的に殺っちまう、つまり喧嘩の事さ。暴走族同士の対立抗争なーんてのもそうだし、酔っ払いの喧嘩だって相手が死んじまえば『殺し』さ。別れ話を切り出されてカッとなったとか、色々あんだろ? その場でカッとなって殺るから、計画性も何もあったもんじゃねえ。だーからよ、仮に捕まっても『殺し』より『傷害致死』で済む事の方もある。どっちにしたって、殺しにゃ変わらねえけっどな。
<確信犯殺人> 昔の次元なんか、このパターンだよな。そ、いわゆる殺し屋と呼ばれる連中の事さ。最近じゃ数が減ったなんて言われちゃいるが、表に出てこねえだけの話さ。どこの暴力団や右翼だってヒットマン(殺し屋)の1人や2人は抱えている。そーんなモンよ、世の中ってな。 一昔前だと、殺し屋と言えば銃ってのが相場だったな。次元ちゃんが、自分の講座で殺し屋御用達の銃の話、してなかったか?目立ちたがりな野郎は日本刀、とかな。あー、別に五右ェ門が目立ちたがり屋だってんじゃねえぜ?これ読んでっかも知れねえ若い坊ちゃん嬢ちゃんは分かんねえだろうけどな、昔はあったのよ、そーいうのがさ。どっかの偉いさんが舞台で演説してる最中に、いきなり舞台に駆け上がって刀でズバッ、てな。もーちろん、その場で現行犯逮捕さ。五右ェ門なら逃げ切るかも知んねえけっどな。 けど最近はそういうのも減ってきたな。コンクリートに漬けたり、山奥に埋めてみたり、果ては切り刻んでバラまいてみたり、まあ色ーんな事を考えちゃってさ。殺し屋が死体の後始末まで考えなきゃいけねえようなご時世だからな。殺し屋稼業だって、最近は大変なんだぜ? ・・・・・って事をこの前、次元に話したのさ。そしたら次元のヤツ、何てったと思う? 『銀座やニューヨークのど真ん中でビル切りきざむ奴が、どうして目立ちたがり屋じゃねえって言えるんだ、お前は・・・・』 だと。違えねえよな、ハハハ。
<性的殺人> 性犯罪と似ちゃいるが、ちょっと違うのがこのタイプなんだよな。いや、場合に寄っちゃもっと始末が悪ぃかも知んねえな。 若いお嬢ちゃんにゃちとグロい話になるが、ネクロフィリアとか、カニバリズムなんて言葉、聞いたことあっか?ネクロフィリアってのは、死体とセックスする屍姦の事さ。生身の女は興味ねえ、死体にしか勃たねえっていう野郎がいんだよ、世の中にゃ。なんでも普通は、せいぜい想像してマスかく程度らしいんだけっどもな、それがエスカレートすっとツッコミたい衝動に駆られるって訳さ。この辺は男ならみんな同じだけっども、そりゃ生身の女の話だ。死体愛好者って奴は、生身じゃダメだから、まず殺っちまう。それから自分が楽しむって寸法さ。死んだ女の顔に自分の精液ぶちまけたい、なんてとんでもねえ事を始終考えてやがるからな、コイツラ。 まあそこまでいかねえでも、鞭で打ったり殴ってみたり、いわゆるSMプレイが好きな奴もいる。これだってやり過ぎで相手が死んじまう可能性だって充分あるしな。そうなったら、立派にこのグループの仲間入りだぜ。 それからカニバリズムってのは、人肉を食べっちまう事だ。アフリカだかアマゾンだかの奥地に住んでる食人族は別だぜ?あの連中の場合、宗教的な儀式か何からしいからな。俺が言うカニバリズムってのは、惚れた女を丸ごと自分のモノにしたくて、挙げ句の果てに殺して食っちまうパターンの事さ。そういう、性欲や・・・こういう場合も食欲っていうのかどうか知んねえけっどもな・・・・そんなモンを満たすために殺っちまうのがこのパターンって訳だ。素人さんにゃ違いねえんだが、この場合はあっちの世界にイッちまった野郎だな。 他にはロリータ趣味の幼女連続誘拐殺人とかな、そういう異常性欲者はそこら辺探しゃゴロゴロいたりするんだよ。つい最近だって、九州の方に小さな坊主に悪戯して殺しちまったガキがいただろ? まったく、胸くそ悪ぃ話だよな。
<その他の殺人> まあ、ざざっと殺しのパターンってのを紹介してきたけっどもな、実際殺しの理由なんか人それぞれさ。積年の恨みが爆発したってパターンから、理由はねえけど何となく人を殺してみたかった、なんてフザケたパターンまで、ピンキリだ。ちっと変わったところじゃ、悪霊払いとか悪魔憑きの儀式っつって相手を殺っちまった、なんてのもあったな。悪霊だか悪魔だか神だか仏だか知んねえが、こういうのは周囲が本気も本気、大マジで悪霊払いをしてるってぇから始末が悪ぃ。殺られる方は堪ったモンじゃねえよな。こういうパターン、犯罪学じゃ迷信殺人っていうらしいけっどな。 それからヤクやドラッグでイッちまった挙げ句の果て、ってのも珍しくねえし・・・・・こういうの、精神病殺人って言うんだぜ、学者連中は。精神病って言やあ、マジで本当の精神病に罹っていて、殺った時に精神が錯乱してたってのもある。最近じゃ、特に理由のねえ殺しが多いだろ?『世間が大騒ぎするのを見たかった』とか、『有名な犯罪者に憧れて、同じ事をやってみたかった』とか、ひでえのになると『別に理由なんか無い』なーんてな。クソガキもクソガキだけっども弁護士や学者も頭固いからな、精神病の一言で片づけたがる。だからさ、最近は『犯行当時、精神錯乱状態だったかどうか』っての、多いだろ?まったく、裏稼業に憧れるのは勝手だが、自分のケツもまともに拭けねえようなガキがくる世界じゃないぜ、裏ってな。 それから・・・・・こいつは国によっちゃ合法だが、安楽死殺人ってのもあったな。病気でくたばりかけた年寄りが、「苦しいから楽にしてくれ」って頼むアレさ。日本じゃ違法らしいが、ヨーロッパ辺りじゃ医療行為だかんな。こいつを殺しとみるか、医療行為とみるかは残された家族次第だろうな。ましてや、周囲が寄ってたかってギャアギャア騒ぎ立てるモンじゃねえだろ。病気の苦しさなんて、所詮は本人にしか分からねえんだからよ。 犯罪学って学問は、この『殺しの理由』ってのを、いちいち分類して、分析して、名前を付けたがるけどな。まあ、『何となく殺したかった』なんてのは置いといて、人が人を殺るにゃそれなりの訳がある。俺には俺の理由があるし、次元にゃ次元の理由がある。五右ェ門や不二子だって同じさ。そいつをいちいち分析されちゃ、俺じゃなくったって「うーるせえッ!」って怒鳴りたくなるだろうぜ。まーったく、大きなお世話だってんだよな。 それでもよけりゃあ、ココの管理人にそう言っといてくれ。気が向いたら、また来っっからよ。 じゃあな!
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