西脇工を破り３回戦に進出した木更津総合ナイン

＜第９５回全国高校野球選手権大会（１６日）＞木更津総合（千葉）３―１西脇工（兵庫）

　木更津総合（千葉）が３―１で西脇工（兵庫）を下し、夏では初となる３回戦進出を決めた。先発の２年生エース・千葉が右肩痛でわずか６球で降板したが、緊急登板した３年生左腕の笈川の超ロングリリーフで危機を乗り越えた。五島卓道監督（５９）は「笈川はこんなところで投げられる選手とは思っていなかった。予想以上。アクシデントがあったが、３年生の意地を見せてくれた」と胸をなで下ろした。

　そんなチームは昨秋に大きな危機に直面していた。新チームになってすぐの市立船橋戦でリードしていたのにもかかわらず、終盤のエラーで敗退。覇気のない内容に五島監督が「声が出ていない！　元気がない！」と激怒した。

　その試合以降、五島監督は心を鬼にして３年生をグラウンドから“排除”。グラウンドに入れない３年生は外で自主練習する日々が続いた。そして、全員でボールを持たずに大声を出しながら“エアーノック”を始めて出直しを図る。これで徐々に信頼を回復していき、春の大会までに全員が再合流できたという。

　この一件もあって夏の地方大会前に行われる監督と３年生らが参加する激励会の実施が危ぶまれたが、五島監督の「３年生はまとまりが出てきている」のひと言で開催が決定。その席で五島監督は石原裕次郎さんの「勇者たち」を熱唱した。曲のサビの部分に「捨てるなよ戦いを　男なら　最後に勝つ者になろうじゃないか」との歌詞があり、指揮官の思いをナインは感じ取ったという。

　チーム解体の危機を乗り越えた木更津ナイン。選手らは「監督を男にしたい」と気持ちをひとつにしている。