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ツイッター世論、憲法・外交に関心 盛り上がり重視

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2013/8/17 7:00
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 ネットと一般の世論は違うとよく言われる。両者の差が現れた興味深い事例が7月の参議院議員選挙だった。参院選を巡って投稿されたツイッター上の意見をデータマイニング大手のデータセクション(東京・渋谷)が分析した「ネット世論」と、日本経済新聞が7月に実施した世論調査を比較すると大きな違いがあった。ネット世論は景気や社会保障、税への関心が著しく低かった一方、憲法や原子力、外交・防衛という賛否両論がはっきり分かれる政策については大きな盛り上がりをみせた。ネットが提示する争点は一般的な有権者の関心事と大きく食い違っており、データの特性に応じた受け止め方、使い方を考える必要がありそうだ。

■ネット世論、「景気対策」への関心低く 母集団に違い

図1 新聞の世論調査では「景気対策」への関心が高かった
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図1 新聞の世論調査では「景気対策」への関心が高かった

 データセクション傘下の調査会社ソリッドインテリジェンス(東京・渋谷)によれば、公示日から投票日までの7月4~20日の間に選挙・政治関連の投稿は約400万件、投稿者のID数は260万にのぼったもよう。このツイッター上の話題のうち景気対策は5%を占めるに過ぎない。日経新聞が実施した7月14~16日の世論調査では、景気・雇用対策は投票を左右する圧倒的な関心事だった。日経世論調査では2番目の関心事である社会保障についてもツイッターでは1割にとどまる。

 逆に、憲法改正はツイッターの話題の4分の1を占めたが、日経世論調査では他の政策に比べ特別目立った関心は寄せられていない。外交・防衛についてもツイッターでの関心の高さが際立つ。ツイッターでは議論が局所的に盛り上がっていたことが分かる(図1、図2)。

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 こうした結果の違いは母集団の違いによるところが大きい。データセクションはツイッターの日本語投稿の全データにアクセスでき、このうち政治に関連する投稿を登録プロフィールで分類すると投稿者の4分の3は男性で、年代は30代が4割弱を占める。残りは20代と40代が4分の1ずつだ。この属性分布は特定政策によって大きな違いはない(図3)。

 通常、ツイッター投稿の男女比は半々で、20代の女性と30代の男性が投稿者の中心。選挙に限った「ツイッター世論」の特性は30代男性の意見のバイアスが強くかかったデータであり、一般の世論とは全く別の特性を持ったデータとして扱う必要がある。日経の調査は一般の世論調査同様、人口分布に応じて調査対象のサンプルの属性が分散するよう調整している。

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■重要さより盛り上がり

 ツイッターに集まるのは基本的に関心が高いテーマだ。ありふれた日用品の歯磨き粉のマーケティング情報を得ようとしてもなかなか見つからない。政治に関する投稿も、政治に関心が高い層のある種片寄ったデータが集まっている。ネット「世論」というよりは「30代の政治好き男性が注目する争点は何か」と言った方が正確だろう。ソリッド社で分析を担当する重久佑介氏は「景気への評価などある程度全体の趨勢が決してしまったテーマは議論が盛り上がらず投稿は伸びない。憲法や防衛など異論が噴出する話題に投稿が集中しがち。重要だから議論するのではなく、盛り上がるが故に議論が進む。全体の流れとかけ離れた『局地戦』になりがち」という。

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