Circus Maximus 【事件】

【FILE】No.3


【DATE】2013 / 8 / 3


【NAME】〝Circus Maximus〟


【PLACE】水の国〝Diaspora〟


【SUMMERY】〝D.R.U.G.S.〟によるホテル〝Diaspora〟へのテロ

水の国〝Diaspora〟――――――水の国有数の巨大なホテルに一通の連絡が入った
その送り主は〝D.R.U.G.S.〟そしてその首領〝Cypress〟その人であった

〝Diaspora〟表向きは一般人ではなく富裕層のみを相手にする高級ホテル
だがその裏の顔は違法カジノを始めとした非常に裏社会との結びつきが強いモノであった
そしてその相手には件の機関の名前すらもあったという

〝Cypress〟の要求は一つ〝D.R.U.G.S.〟の傘下に入れとのことであった
狙いはホテル自身にあるのではなく、ホテルを媒介にしその奥にいる富裕層との癒着であろう
曰くパトロンは多ければ多いほど良い――――――マフィアたる彼らにとってソレこそが信条であるのだから

けれどもホテルとしてはその要求を飲むわけにはいかなかった
〝D.R.U.G.S.〟の要求を脅迫として〝UNITED TRIGGER〟及び〝自警団〟それに加えて一般の実力者にも協力を要請
さらに極秘裏に機関にも力を貸すように依頼し〝D.R.U.G.S.〟に対する包囲網を敷いた

そのホテルの出方に対し〝Cypress〟は交渉決裂と判断
日時を指定しその時刻にホテルを爆破せしめると一方的に通牒を送った
先の〝Bloc Party〟にて奪還された爆弾魔ジーノ=スカルノフの名が関係者の脳裏をよぎる

〝D.R.U.G.S.〟の活動としては異例のテロ行為であり、参加した人員も精鋭を寄りすぐった少数であった
最終的にジーノ=スカルノフの死亡を持って戦乱は集結〝D.R.U.G.S.〟は撤退を余儀なくされた
だが〝Diaspora〟の評判は地に堕ちテロ行為に一定の効果はあったのだろう

内部にただ、隠しきれぬ疑いが生まれた以外は

【BATTLE】


――――〝Ⅰ〟

≪D.R.U.G.S.≫ 霧崎舞衣 VS ラッシュ・ワンスドッグ ≪正義≫


霧崎舞衣にとって、この作戦は不本意なものであったのだろう
元々〝富獄会〟自体が穏健派であり、それ故テロを行う強行派とは根本的に違う
故に彼女に宛てがわれた場所は、仲間であっても死の危険がある地下であった

まるで映画のワンシーンが如く美しく整ったその地下に於いて
彼女と相対したのはラッシュ・ワンスドッグ彼もまた彼女に負けずとも劣らない実力者であった
軽口を叩きながら彼女と会話する姿、それは傍から見たならば戦いの最中とは思えないほどに

けれども彼女らは紛うことなきプロフェッショナルであって
刃と刃を交錯する刹那の間合い、覚悟を決めたなら戦場は確かな血に塗れて
僅かな油断も許さない殺陣をそこに描いていた

互いに膠着状態、次の一手が刻まれる、その瞬間に
鳴り響いた携帯の音色が勝負の中断を告げた、撤退を選択した舞衣
勝負の決着は付かずとも、戦闘の勝利はラッシュに授けられたのだろう

――――〝Ⅱ〟

≪D.R.U.G.S.≫ 〝JOKER〟the Dope Show VS No.961<シックボーイ>&バンチョー・スズキ ≪機関&正義≫


切り札が切られた、捲られる道化師の札、たった一枚で戦場を混沌に染め上げる彼
JOKERの名に偽りはなく巨大なパーティ会場を一人で地獄絵図へと描き変えた
その彼の前に対峙したのは〝機関〟と〝正義〟――――――

カノッサ機関のエージェントが正義の能力者と手を組むという滅多に見られない光景
シックボーイとバンチョー・スズキ両者共に非常に高い実力を持つ強者であった
けれどもその二人を前にしても余裕を崩さないのは切り札たる所以か

〝Circus Maximus〟――――――その名の通り、掴みどころの無いサーカスのような能力
二人を相手してもなお一歩も退かずに狂った嘲笑を響かせその理論を叩きつける
存在に正当性はなく、ただひたすらに悪鬼と言うしかなかった

しかし、バンチョー・スズキとシックボーイによる連携攻撃、その結果として彼は自身の炎に焼かれた
だが命を落とすその瞬間に床が崩落、間一髪命を取り留めるのだろう
ヘリコプターで脱出する彼、凄惨な火傷を負った素顔を晒しながらもなお彼らを罵り続けた

――――〝Ⅲ〟

≪D.R.U.G.S.≫ ジーノ=スカルノフ VS 八攫 柊 ≪第三勢力≫


〝Bloc Party〟に於いて、間一髪の状況で命を救われたジーノ
そしてその彼を殺す一歩手前まで追い詰めた柊
その両者が対峙するのは半ば必然であったのだろう

違うのは今回のジーノは逃げる立場ではなく襲う立場であるということ
彼らの戦闘は最早戦いという次元に無く
ただただ抜き身の刃で斬り合う、殺し合いでしかなかった

至近距離からの銃撃、並の相手であればソレで戦闘は終結した
けれども柊は神業とも言える刃さばきを見せる、銃弾を弾き返し
返す刀でジーノを切り裂かんと為す――――――

けれども覚悟を決めた、ジーノは右足を吹き飛ばす形で回避し最期の一撃を加える
柊はそこに於いて、自らの持てる最速の抜刀を見せた、光をも置き去りにする神速の刃
意識途切れ命散ったジーノ、彼の最期の言葉は、満足気な言葉であった

それは己より若く己より強い少女への、最大限の賛辞であったのだろう