大阪府警:警官へ「正直者は救われる」 不祥事即報告で処分減免 マニュアル作成

毎日新聞 2013年06月17日 大阪朝刊

大阪府警が作った不祥事対策のマニュアル。天使と悪魔のイラストを使うなど分かりやすく説明している
大阪府警が作った不祥事対策のマニュアル。天使と悪魔のイラストを使うなど分かりやすく説明している

 すぐに報告すれば処分しない−−。証拠品の捏造(ねつぞう)などが相次ぐ大阪府警が不祥事の隠蔽(いんぺい)をなくそうと、こんな方針を初めて打ち出し、マニュアルにした。証拠品の紛失をごまかそうとする警察官に、悪魔が「いい判断じゃない」とささやくと、天使は「報告すれば処分を受けることはないわよ」と忠告する。イラストを取り込んだ学校教材のような作りに、府警の危機感があらわれる。【近藤大介】

 府警では、不祥事を隠すための上塗りの不正が頻発しており、速やかな報告を条件に、処分を減免する方針を明確にした。府警幹部は「警察官に『正直者は救われる』と教えるのは面はゆいが、負の連鎖を断ち切るため」と唇をかむ。

 府警では、福島署の刑事課長=依願退職=らが強盗強姦(ごうかん)事件の証拠品のたばこの吸い殻を捏造した。着任前から吸い殻は紛失していたとみられる。

 堺署でも同様のケースが相次いだ。公務執行妨害事件を巡る調書改ざん問題では、改ざんに気付いた刑事課員が隠蔽のため、新たな調書改ざんに手を染めた。刑事課の警部補=退職=は着任後の点検で、薬物事件の注射器がないと思い込んで、無関係の注射器を証拠品にでっち上げた。

 共通するのは、自分が起こした不祥事ではないのに隠蔽しようとした点だ。府警幹部は「全く理解できない」としているが、同様のケースで処分された元府警の警察官は「報告すれば自分も処分されたり、マイナス評価をされると思った」と証言している。

 実際、証拠品紛失などに気付いて報告した場合、処分対象になるかどうかはあいまいだった。このため、田中法昌(のりまさ)本部長の指示で処分の減免を打ち出してマニュアルを作成、先月28日に全65署に配布するなどした。

 マニュアルでは、証拠品の紛失に気付いた架空の警察署係長を例に、イラストを交え、「報告」より「隠蔽」の方がいかにリスクが大きいか訴えている。

 係長は当初、「課長に叱られる」などと悩み、悪魔のささやきに従って「同じ物を保管してごまかそう」と考える。しかし、すぐに報告すれば、懲戒処分や事件化はされないと天使に伝えられる。そして、隠蔽を選べば、懲戒免職や刑事処分という重い結果が待っていると強調している。

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 ■大阪府警で発覚した証拠品捏造など(年月は公表時期)

 <2012年>

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