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【長野】

観客ずぶぬれ、散々 諏訪湖祭湖上花火中止

花火大会の中止について説明する山田勝文市長=諏訪市役所で

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 十五日夜、諏訪市周辺を襲った記録的な豪雨で、諏訪湖祭湖上花火大会は中止に追い込まれ、公共交通機関がストップした。最寄り駅周辺は帰宅困難者であふれ、低体温症で緊急搬送される人が出るなど混乱は未明まで続いた。市は、公共施設を開放して六千六百人を受け入れたが、観光客ら四百人余りが施設でつらい一夜を過ごした。

 「ここまで長時間、強風雨が続くとは想定していなかった」

 花火大会から一夜明けた十六日午前、実行委員会会長を務める山田勝文諏訪市長は市役所で会見し、開催に踏み切った経緯などを説明した。

 諏訪市の大雨・洪水警報は午後四時二十分に発表。警報が出ると、運営委員会を開いて、大会の続行か中止かを判断する場合もあるが、今回は委員会は開かれず、予定の午後七時に開演した。

 山田市長は開催に踏み切った判断について「間違いでなかった」と述べ、「青空も見えていた中で、観客に中止を理解してもらうのは難しかった」と当時の状況を明かした。

 ◇交通網まひ

 約五十万人の人出でにぎわった国内屈指の花火大会。豪雨の影響で交通網はまひし、会場近くは帰宅できない人であふれた。

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 JR東日本長野支社によると、午後七時三十五分ごろ、岡谷駅の雨量計が規制値を超え、会場付近を通るJR中央線小淵沢(山梨県北杜市)−塩尻で運転を見合わせた。

 例年、電車で訪れる人は七万八千人に上るといい、最寄りの上諏訪駅では十六日午前四時半ごろまで乗客の姿がみられたという。

 一方、高速道路は長野自動車道塩尻北インターチェンジ(IC)−岡谷ジャンクションと、中央自動車道伊北IC−諏訪ICで、十五日午後八時四十分から翌未明まで通行止めとなり、付近の国道で渋滞が発生した。

 ◇六千六百人避難

 会場付近にあふれた帰宅困難者を安全な場所に移すため、諏訪市は市文化センターなど公共施設十四カ所を開放。毛布やタオルを配り、暖房を用意して、最大で約六千六百人を受け入れた。うち四百二十人余が一夜を明かした。

 市文化センターで夜を明かした埼玉県上尾市の公務員青葉辰美さん(60)は空席がなく、妻と別々に仮眠を取った。「リュックの着替えもびしょぬれ。寒くて眠れなかった」。山梨県大月市の学生四人組も「つらかった」「花火も見られず散々」とため息をついた。

 市や諏訪署によると、雷雨による低体温症や体調不良で三十六人が病院に運ばれた。午後八時ごろには、諏訪湖で花火見物中のボートが雨と横波で沈没する事故があったが、乗っていた二十二〜七十六歳の六人は無事救助された。全員が救命胴衣をつけていた。

 山田市長は会見で「不測の事態だったが、大きな事故、けががなかったことが幸いだった」と述べ、諏訪湖で九月七日に開かれる全国新作花火競技大会は予定通り行う考えを示した。

 ◇記録的豪雨

 諏訪地域は十五日午後八時半までの一時間の降水量が観測史上最多の七四・五ミリを記録した。なぜ局地的な豪雨となったのか。

 長野地方気象台によると、諏訪地域は、最高気温が三三・七度まで上昇。南西の風と北東の風がぶつかって上昇気流が起こった上、雨雲が停滞して記録的な雨量になった。

 雨雲は夕方に県北部に移動し、諏訪地域の雨は一時やんだが、花火大会の開始後に再び発生した雨雲が大雨を降らせたという。

 気象台は「今後も日中の気温が上がった所で上空に寒気が入ると、今回のような雷雨になる可能性がある」と注意を呼び掛ける。

(中沢稔之、小西数紀、武藤周吉)

 

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