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【スポーツ】弘前学院聖愛 初出場2勝で16強2013年8月17日 紙面から ◇全国高校野球選手権<第9日> 弘前学院聖愛4−3沖縄尚学
初出場の弘前学院聖愛(青森)は沖縄尚学に4−3で競り勝ち、3回戦に進出した。同点の4回1死二、三塁で今夏初スタメンの外川和史左翼手(2年)が決勝の左翼線適時二塁打を放った。青森県勢が初出場で2勝を挙げたのは初めて。弘前学院聖愛は3回戦で大会第11日の18日、延岡学園(宮崎)と対戦する。 三塁側アルプスにこだまする「リンゴの唄」に背を押され、この日も津軽の「リンゴっ子」が躍動した。打線が2戦連続2桁安打となる13安打を放てば、エースも3失点完投。初出場での3回戦進出に弘前学院聖愛・原田一範監督(35)の声が上ずった。 「試合に集中していて実感がない。ただただ、うれしい。弘前出身者だけで日本一という思いでやってきた。そのチャンスがあって、少しずつつかんでいる」 全員が青森県津軽地方出身。弘前市内の学校周辺にはリンゴ畑が広がる。同点の4回1死二、三塁から決勝の左翼線適時二塁打を放った外川の実家はリンゴ農家。エース右腕の小野も小さいころから、親戚の畑で収穫を手伝ってきた。 「上を向いて(リンゴを)もぐんで、体がバシバシになるんです」。小野の話には実感がこもる。原田監督がナインを「リンゴっ子」と呼ぶゆえんだ。 そんな彼らには合言葉がある。「JK」。女子高生ではない。準備と確認。太田淳部長は「ビデオを見るのも、ご飯食べるのも準備。グラウンドでやるのは答え合わせ」と説明する。 これまでは準備の歴史だった。創部は2001年。初参加した同年夏の青森大会は初戦で2−29の大敗。その後も県内2強の青森山田、光星学院(現八戸学院光星)に全く歯が立たなかった。「津軽弁で言うと、おじょんでしまっていた。名前にビビっていた」と太田部長。 克服へ取り組んだのが強豪との練習試合。秋田商、花巻東、仙台育英、横浜、早稲田実業…。アポは飛び込み。受けてもらえれば各地に出向いた。年末年始、部員は地元の鮮魚店やお寺でアルバイトし、遠征費を稼いだ。光星学院を初めて倒したのは7年目、2007年だった。 ここ2年は特に打撃強化に力を注いできた。冬場も雪を踏み固めたグラウンドで打撃練習。なくならないようにビニールテープを巻いたボールを打ちまくった。「打つのが仕事。いつでもいける準備をしていた」。この日が今夏初スタメンの外川の言葉は象徴的だ。 今夏、青森大会で八戸学院光星、青森山田を撃破した。おじょまなくなったリンゴっ子。戦後間もない日本を元気づけたリンゴの唄の調べとともに、旋風は続く。 (高橋雅人) PR情報
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