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【プロ野球】

マー君は平成の神様 稲尾超えで日本新21連勝

2013年8月17日 紙面から

西武−楽天 21連勝を飾り笑顔を見せる楽天・田中(園田高夫撮影)=西武ドームで

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◇楽天3−1西武

 楽天の田中が開幕17連勝とした。8イニングを5安打1点に抑え、10三振を奪った。打線は6回にマギーの適時二塁打で先制。1−1とされたが8回に銀次のソロと松井の犠飛で2点を挙げた。西武は序盤の好機を生かせず4連敗を喫した。

     ◇

 プロ1年生だった6年前、当時の野村監督から「神の子」と名付けられた右腕が、ついに「神様」を超えた。勝利の瞬間を見届けると、田中はベンチで両コブシを握った。楽天の絶対エースが8イニング1失点で開幕17連勝。昨年8月26日から21連勝とし、「神様、仏様」と称された稲尾(西鉄)、松田(巨人)のプロ野球記録を塗り替えた。

 大記録の瞬間に居合わせた敵地のファンも熱狂する中で、田中だけは冷静だった。「カードの初戦をチーム全員で勝てたことが一番うれしい」。記録についての質問を重ねられても、「シーズンが終わったときに振り返りたいですね、ハイ」と苦笑いした。

 初回のピンチにすごみが凝縮されていた。先頭のヘルマンに安打を許し、続く渡辺直にはバスターを決められた。無死二、三塁。「1点もあげたくなかった」。外野飛球も許さない。内野ゴロ、三振、内野ゴロ。圧巻の投球だった。

 自軍が先制した直後に同点打を許したことが唯一の反省点。しかし、相手には決して主導権を渡さない。入団以来、西武ドームでは全回まで通算3勝5敗。12球団の本拠地で唯一負け越している鬼門も突破した。

 「もう、アイツには称賛の言葉はないよ。言い尽くした」。神をも超えたエースには、星野監督もうなるしかない。「稲尾さんは鉄腕と呼ばれたもんな。マサヒロは何て呼べばいいんだ? プラチナか」と笑った。

 単純な比較は難しい。ただ、松田と稲尾は救援勝利もあったが、田中はすべて先発で白星をつないできた。さらに指揮官はこれまでにも、「あの時代の打線は1、3、4番に注意すれば良かった。今は1番から9番まで本塁打を打てる」と話してきた。投手出身だからこそ、この偉業を半端な言葉でたたえたくなかった。

 エースに導かれ、リーグ一番乗りで60勝に到達した。球団初の優勝マジックは最短で18日に点灯する。「シーズン終盤になって、すごく良い緊張感の中で試合をできていることが幸せ」と田中。前人未到の領域に入ったエースは、どこまでも走り続ける。 (井上学)

 

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