サルコジを訴えたジャック・ベルジェス仏弁護士 心臓麻痺死亡

ロラン・デュマ氏の友人ジャック・ベルジェス(88歳)弁護士が昨夜(8月15日)心臓麻痺で死亡した。ベルジェス氏は世論の批判する人々を弁護する弁護士として有名でナチスの犯罪者クラウス・バルビやテロリストのカルロスなどを裁判で弁護した。「光った悪魔」と自称していた。晩年はミッテラン元大統領時代の元外務大臣デュマ氏と共に独裁者カダフィのリビアを訪れ仏特殊部隊による爆撃で被害を受けた市民を弁護してサルコジ前大統領を訴えた人としても有名だった。ジャック・ベルジェス弁護士の弁護の共通点とは、万民の了解に対抗して人を弁護するということにあった。

仏国営ラジオ・フランス・アンフォ(RFI)がいち早く16日朝に報道した。世界的に有名な弁護士で葉巻をいつも口にくわえ厚い眼鏡の裏にはアジア人を母親に持つベルジェス氏は細い目を光らせていた。数週間前に転んで体調を崩していたという。

ベルジェス氏は普通の弁護士と違ってテロリストや独裁者、ナチスの責任者など、一般には弁護すべきでないと思われている人まで弁護した。その中にはナチのクラウス・バルビやテロリストのカロルスやセルヴィアの独裁者ミロセヴィッチもいた。

ベルジェス弁護士は、「神の眼には悪魔はいない」というサント・オーギュスタンの言葉を引用するのが好きであったという。

ベルジェス氏の考えはきわめて仏教の考え方に近いもので神は悪魔ではないとするキリスト教の善悪の二元論を否定する考えだ。「人が世間から指をさされている時には、その人も指した人と同じく平等に権利がある」とベルジェス氏は考える。

同氏は西欧は善でイスラムは悪だとは直裁に決め付けなかったのである。オランダのハーグの国際刑事裁判所(ICC-CPI )で戦争犯罪者としてサルコジ前仏大統領を裁く裁判を組織するために、フランスのリビア空爆で死亡した人々を弁護しデュマ弁護士と共にリビアを訪れ調査にのりだしたのもそういう思想から出ていることがわかる。

晩年は友人の社会党の元大臣ロラン・デュマ弁護士と多くの旅をした。レユニオンで育ったジャック・ベルジェス氏には双子の兄弟でレユニオンの共産党の創立者ポール・ベルジェス氏がいる。1945年には「フランスの力」(FO)に合流し仏共産党員(PCF)に。後に植民地人学生協会の会長も勤め強靭な反植民地主義者であった。多くの現代史のミステールな影を多く残して昨夜亡くなった。

レユニオンの共産党の創立者ポール・ベルジェス氏がいる。1945年には「フランスの力」(FO)に合流し仏共産党員(PCF)に。

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飛田正夫記者のプロフィール

世界の宗教・道徳は人を殺さないということが基本にある。ところが国際社会とか国連を名目にして空爆を行い人を殺す戦争が横行している。原爆実験や平和利用の核開発もその派生したものである。一人の人間の殺害は多くの人の殺害と同じ重さがある。一人だからといって軽視されてはならない。いつしかこの思想を世界の政治家や宗教家たちも忘れてしまったのではないだろうか。人間の命が今ほど軽視されている時はない。

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