スクウェア・エニックス・ホールディングスは、2013年第2四半期(4~9月)の連結決算で54億円の赤字(前期は37億円の黒字)に転落した。売上高は前年同期比で6.2%増の611億円だったが、営業利益が52億円の赤字で、最終損益も赤字となった。
同社はこれを受け、13年3月期の通期業績予想を売上高17.3%増の1500億円、最終利益42.2%減の35億円に下方修正した。
今中間期は、人気ゲームソフト「ドラゴンクエスト」シリーズ10作目の課金登録者が順調に伸びたが、家庭用ゲームソフトや業務用ゲーム機の販売が計画を下回った。また、子供向け新型カードゲーム機の不振もあり、開発費などがかさんだ。
ゲームソフト大手5社の13年第二四半期決算では、同社が唯一赤字に転落した。同社は11年3月期の連結決算でも、売上高の約10%に相当する120億円の赤字を計上した。どんな経営をしているのか、キャリコネの口コミから見てみよう。
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「査定制度の妥当性は無いに等しい。どのような基準で判断されているのかがまったく不明。一応、目標設定を行ったり、それに対する達成度などについて申告する機会はあるが、反映されていないように思われる」 30代前半の女性契約社員は、査定制度の不透明さに、こう憤慨している。
一方、人事の不透明さを訴えるのは、30代後半の男性社員だ。この男性社員は、次のように指摘している。
「プロジェクトごと、または職種ごとに派閥が形成されており、リーダー格の人物の口添えなしには出世することは不可能。技術的な評価で出世した例はあまり見たことがなく、『仲良し人事』で評価が下され、出処進退が決まっていた節がある」 また、24歳の男性社員は「社員にいっぱい仕事をさせて、ついてこられなくなったら切っていく雰囲気がある。頭よりも体で稼いでくださいという風潮がある」と社風について話している。
今回の赤字転落の要因には、予告作品の発売遅れで売り上げ計画が狂ったことも大きかったといわれている。
「給与や査定の不満、キャリアパスの不透明さなどからモチベーションが低下しているためか、プロデューサーの意図通りの作品ができなくて、やり直しをする頻度が高い。これが発売遅れに繋がっている」と、同社関係者は指摘している。
一方、ネット上では、ゲームファンの間で「最近のドラクエはストーリーがマンネリで面白くない」「近年はリメークが多くて買う気がしない」などの声が飛び交っている。
和田洋一社長は、「製造業では家電が脱落して自動車が残るのみ。流通、ITなどいずれも世界に勝てていない。その中で、当社は3次産業で世界のメジャーに成り得る数少ない日本企業の候補の1社」とマスコミの取材で自慢している。その自慢も社内の異変で足元が揺らいでいるようだ。
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