花火見物で見上げていた夜空に、青白い光が数回、走った。ペルセウス座流星群かどうかは分からなかったけれど、流れ星を見ると、幾つになっても胸が躍る
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よばい星、落ち星、キジ星、はしり星…。いろいろな呼び名がある。太陽に近づいた彗星(すいせい)の氷が溶けて放出されたちりが地球の大気との摩擦で燃え尽きるときの光。正体を教わってからも、太陽系のかなたからやって来る彗星の神秘性にひかれ続けている
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はかなさが人生や恋と重なるのか、短歌や俳句に数多く詠まれてきた。〈流れ星うつくしかりき君とわれくつは虫啼く原にかかりぬ〉与謝野晶子。〈星一つ命燃えつつ流れけり〉高浜虚子。〈星流る疑ふこともなく生きて〉山口青邨
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国立天文台長を務めた海部宣男さんの随筆「天文歳時記」は、天文を題材にした古今の詩歌を紹介しながら時代時代の自然観を伝えている。その天文台によると、出現が期待できる流星群はまだまだある。お盆を過ぎてからははくちょう座。オリオン座やしし座が秋に。冬はふたご座が巡ってくるという
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改憲の動き、難航する福島第1原発の廃炉作業や被災地の復興、社会保障や経済の今後、緊張感が高まる隣国との関係…。何かと気がかりな問題が多い昨今だ。気がめいりそうなときは、夜空を眺めながら穏やかな暮らしを願ってみるのもいい。天に帰るご先祖さまを送る、今夜にでも。