安倍晋三首相は68回目の終戦の日を迎えた15日、東京都千代田区の日本武道館で開かれた全国戦没者追悼式の式辞で、アジア諸国に対する加害責任に触れなかった。1993年の細川護熙首相以来、踏襲されてきた対外的なメッセージだが、それには触れず、国内の戦没者への追悼に主眼を置いた。
特集「終戦の日」首相は式辞で「あなた方の犠牲の上に、いま私たちが享受する平和と繁栄がある」と戦没者を追悼。「歴史に対して謙虚に向き合い、学ぶべき教訓を深く胸に刻み」と言及したものの、歴代首相が繰り返してきた「不戦の誓い」という表現は使わなかった。そのうえで「戦後わが国は、自由、民主主義を尊び、ひたすらに平和の道を邁進(まいしん)してまいりました」などと日本の平和貢献を強調した。
加害責任をめぐる歴代首相の式辞では、細かい表現を変えながらもアジア諸国への「深い反省」と「哀悼の意」を示してきた。第1次内閣の2007年には安倍首相も「我が国は、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」「国民を代表して深い反省とともに犠牲となった方々に謹んで哀悼の意を表す」と述べた。
今回の式辞の見直しは、国内の戦没者や遺族向けと対外的なメッセージを両立させてきた追悼式の趣旨を国内向けに徹底するという目的がある。
追悼式には全国の遺族約4700人のほか、天皇、皇后両陛下、衆参両院議長らが列席した。
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朝日新聞官邸クラブ