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【経済】

残業代ゼロ実験導入 政府方針 年収800万円超想定

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 政府が、一定水準以上の年収がある人には週四十時間が上限といった労働時間規制の適用を除外する「ホワイトカラー・エグゼンプション」の実験的な導入を、一部の企業に特例的に認める方向で検討していることが十四日、分かった。

 年収八百万円を超えるような大企業の課長級以上の社員を想定。時間外労働に対する残業代は支払わない上、休日、深夜勤務での割増賃金もない。経済産業省は自分の判断で働き方を柔軟に調整できるようになり、生産性向上につながるとしている。

 ホワイトカラー・エグゼンプションは第一次安倍政権が導入を狙ったが、二〇〇七年、労働組合の反対で見送られた経緯がある。今回も労組は「過労死を引き起こす」と反発しており、政府内でも厚生労働省からは疑問の声が上がっている。

 経産省は今秋の臨時国会に提出予定の「産業競争力強化法案」に、先進的な技術開発などに取り組む企業に規制緩和を特例的に認める「企業実証特例制度」の創設を盛り込む方針。この一環で、労働時間規制の適用除外の実験的な導入も認める。

 法案成立後、導入を希望する企業から申請を受け付ける。経産省によると、トヨタ自動車や三菱重工業など数社が導入を検討しているという。実際に適用することになれば、本人の同意や労使合意も必要となる見込み。

 労働基準法は労働時間の上限を一日八時間、週四十時間と規定。これを超えると残業代の支払いが義務付けられ、休日や深夜の勤務には賃金を割り増す。現行でも実際の労働時間とは関係なく、一定時間働いたとみなして固定給を払う「裁量労働制」があるが、休日、深夜の割り増しはある。

 東京管理職ユニオンの鈴木剛(たけし)書記長は「多くの管理職に裁量はない。サービス残業が常態化しているのに、際限なく働かされることになり、過労死を引き起こす」と批判。厚労省幹部は「労基法は全ての事業者と労働者に適用され、特例を認めるのはなじまない。労働条件は労使が加わった審議会で議論するのが原則だ」としている。

 

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