社説
靖国神社参拝 閣僚は自粛で足並みを(8月10日)
安倍晋三内閣の閣僚や自民党幹部の一部が「終戦の日」の15日に靖国神社参拝を検討している。
稲田朋美行政改革担当相と自民党の高市早苗政調会長が参拝の意向とされ、春の例大祭で参拝した新藤義孝総務相、古屋圭司拉致問題担当相も含みを残す。
首相と麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、岸田文雄外相の主要4閣僚は見送る方針だ。
首相は6日の記者会見で「私人としての参拝は心の問題であり、自由だ」と述べ、閣僚らの参拝は個人の判断に委ねる考えを示した。
主要4閣僚が参拝を見送ることで中国や韓国の批判をかわす一方、他の閣僚らの参拝は認めて党内保守派や日本遺族会など支持団体の理解を得る狙いだろう。
そうした内向きの論理が対外的に通用しないのは、春の例大祭で実証済みだ。同じ失策を繰り返してはならない。閣僚らは参拝を控え、首相も自粛を働きかける必要がある。
首相は第1次内閣当時に参拝できず、「痛恨の極みだ」と発言していた。だが今春の例大祭では、悪化した中韓両国との関係を考慮して参拝を見送り、祭具の真榊(まさかき)を奉納するのにとどめた。
しかし中韓は麻生氏ら閣僚の参拝に反発し、韓国外相の訪日や、日中友好議員連盟の訪中が中止になった。首相は国会答弁で「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と開き直り、関係の一層の悪化を招いた。
憲法改正をめぐり戦前のドイツ・ナチス政権を引き合いに「手口を学んだらどうか」と発言した麻生氏は、靖国神社についても「静かに参拝すべきだ」と述べ、同じように中韓両国の批判を浴びている。
首相が同盟を重視する米国も、日本とアジアの摩擦を懸念している。
米議会調査局は日米関係に関する報告書で、首相らが参拝した場合、北東アジア地域の緊張が激化する可能性があると指摘し、「歴史認識の不一致が日米韓などの地域協力に影響する」と警告した。
そもそも、参拝が批判されるのは、アジア諸国に多大な被害を与えた戦争を指導した末に日本を破滅に導いたA級戦犯が靖国神社に合祀(ごうし)されているからだ。
閣僚らの参拝は、日本政府が戦争を反省していないとの疑念を抱かせる。アジア諸国だけでなく、日本国内にも批判があるのはそのためだ。
公的な立場での参拝であれば、憲法の政教分離の原則に抵触する可能性も指摘されている。
戦没者を悼む気持ちは大切だが、参拝を予定する閣僚らは自らの立場をわきまえ、広い視野に立って再考するよう強く求めたい。
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