日本の最新の経済統計に絡む主な疑問と言えば、消費税引き上げを実行できるほどに十分に経済が成長しているのかどうかということだ。しかし、少しばかり掘り下げてみると、今年第2四半期(4-6月)の国内総生産(GDP)の年率2.6%の成長率は、より大きな疑問を生じさせる。つまり、経済は一体いつまで成長できるのか、という疑問だ。
12日に発表された成長率がエコノミストの予想に達しなかった大きな理由は、企業投資の不振で、この部門は誇大にもてはやされてきた安倍晋三首相の経済再生計画の水準に達していない。投資の伸びのほとんどは、政府の刺激策と東日本大震災の復興支出によるものだ。これはアベノミクスが約束したものではない。
この統計は数週間後に改定される。9月に出てくる改定数字はそれほど暗いものではないかもしれない。しかし、その他の最近の統計は、経済がどこかに泳ぎ進んでいるというよりは、元気に立ち泳ぎしているというだけの状態であることを示唆している。
金額ベースでなく数量ベースでみた輸出も回復しており、3カ月移動平均で見ると、6月は2月以降12%伸びている。だが、オリエンタル・エコノミスト・アラートのリチャード・カッツ代表によると、これは2008年の水準を依然25%も下回っている。そしてこの伸びの大部分は、中国向け輸出によるものだ。両国間貿易は昨年の政治的緊張で減少したあと、やっと部分的に回復している。この点において、日本は引き続き、米国と欧州という主要な輸出市場から経済的弱さを輸入している。
こうしたことは全て、これまでに実施されたアベノミクスの弱さを示している。予想されたように、財政拡大は期待された乗数効果をもたらしていない。また、急激な金融緩和とこれに伴う円安も持続的成長を促していない。日本の企業は海外で値下げして市場シェアを拡大しようとしておらず、同じ外貨建て価格で販売して得られた収入を円建てに換算して利益を膨らませている。
超円安が持続しないことが分かったことから、円の対ドル相場が1ドル=約102円に下落してから3カ月もたたないうちに96円程度にまで上昇したことは驚きではない。円安で輸出と輸出利益が増え、その主たる結果として考えられていた賃金上昇は、そのほとんどが1回限りのボーナスによるもので、基本給は小幅減少した。これも企業は景気拡大が長続きするとは確信していないことをうかがわせる。
日本の経済政策をめぐる議論は、第2四半期のGDP統計が安倍首相が来年4月に消費税を現在の5%から8%に引き上げるに十分なだけ強力かどうか、という点ばかりに終始している。増税は経済がまずまず健全な時にしか実行できない。しかし、最近の経済指標を全般的にみると、持続的な成長を促すには安倍首相が広範囲で深みのある構造改革に焦点を当てる必要があることを示唆している。
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