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日本男性の自殺率は、女性の2.5倍

自殺者、13年連続で3万人超も02年以降では最少 警察庁

 警察庁が7日まとめた自殺統計の速報値では、昨年の自殺者は3万1560人で、前年より1285人(3・9%)減った。平成10年から13年連続で3万人を超えたが、過去10年では2番目に少なく、14年以降では最少となった。

(2011年1月7日 msn産経ニュース)

 2010年の自殺者は、3万人を超えた。前年より減ったとは言え、依然として非常に高い水準だ。

 下のグラフは、警察庁の資料「平成21年中における自殺の概要資料」と、同じく警察庁の「平成22年の月別の自殺者数について(12月末の速報値)」から、過去30年間における、男女の人口10万人あたり自殺者数をまとめたもの。

自殺率の推移

 1980年から1997年ころまで、男性の自殺率は女性の1.65~2倍程度で推移していた。ところが、1998年に状況は一変する。男性の人口10万人あたり自殺者数は、前年の26.6人から、37.2人に急上昇。女性も12.4人から15.3人へと高まったが、男性よりは小幅にとどまった。その結果、男性の自殺率は女性の自殺率を、2.5倍以上も上回るようになったのだ。
 その後、男性の自殺率は35~40人程度で高止まった。一方、女性は13~14人台に下がり、1980年代当時と大差ない水準に戻っている。2010年現在、男性の自殺率は女性の2.5倍。日本の自殺問題は、男性の自殺問題とも言える。

 ところで、上で紹介したmsn産経ニュース記事では、「不況の長期化や政治不信の高まり」を自殺者数が減らない原因と考えているようだ。確かに、自殺率が急増した1998年は、バブル崩壊後の不況がどん底に陥った時期。前年11月に拓銀が破たん、山一證券が自主廃業に追い込まれ、景況感は非常に悪くなっていた。
 ただ、景気の悪化だけが自殺率上昇の原因ではないだろう。その後の「いざなみ景気」の局面でも、自殺率はさほど低下していないからだ。
 1998年に壊れたのは、日本の経済システムだけではない。特に男性にとって寄る辺だった、終身雇用制に象徴される日本式の安全装置、頑張ればいつかは報われるという社会に対する希望。それらが、拓銀や山一證券の崩壊ともに失われてしまったことが、自殺率急増の原因ではないかと考えている。

 いずれにせよ、日本の自殺問題の肝は、男性の自殺率が下がらないことだ。それゆえ、男性に的を絞った対策が、もっと打たれていいと思う。プライドが高く、悩みを抱え込んでしまいがちな男性でも軽い気持ちで相談できるような窓口が、たくさんあればいいのだが……。

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コメント:1

匿名 2013年7月17日

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