自衛隊の婚活パーティー、震災での活躍で参加希望者が急増

小野寺五典防衛相は先日、横須賀海上自衛隊基地で、自衛隊員の男性は掃除、洗濯、料理の面でよく訓練されていると称賛した。

スピーチを聞いていたのは、海上自衛隊員との出会いの場を提供する「トーキング・フェスティバル」に参加した131人の女性だ。

Chieko Tsuneoka/The Wall Street Journal
横須賀基地で開かれた「トーキング・フェスティバル」(13日)

小野寺防衛相は、「お婿さんにして、まず間違いは絶対ないと思う」と太鼓判を押したうえで、「玉に傷は、洋上に出ると連絡がつかなかったり、メールが届かなかったり、さみしい思いをすることもあると思うが、その期間は絶対浮気というのは心配ない」と付け加えた。

この婚活パーティーは、横須賀上級海曹会が15年前に始めたもので、年3回ほど開かれている。イベントをきっかけに、これまで61組のカップルが結婚に至ったという。近年までそれほど高い関心を集めていなかったが、2011年の東日本大震災で救助・復旧活動を主導した自衛隊が注目されたことで、隊員との交際・結婚を望む女性が増加した。

その結果、参加希望者は200人程度から300人程度に膨らんだ。今月13日に開かれたバーベキュー・バーティーには、80人の募集に対して過去最高となる1117人の女性からの応募があったという。そのため、主催者は急きょイベントの規模を拡大し、最終的に131人の女性が参加した。20歳以上の日本人女性であれば誰でも申し込め、今回は女性参加者の最高年齢が48歳、男性が53歳だった。

Chieko Tsuneoka
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婚活パーティーへの参加者が増えるのは、ある意味自衛隊の人気が高まっていることを示している。ここ何十年もの間、平和主義色の強い日本社会の中で自衛隊員はあまり目立たない存在だったが、東日本大震災での活躍に加えて、中国との領土問題や北朝鮮の核の脅威によって、自衛隊を支持する世論が強まっている。

また、テレビ局が過去のイベントを取り上げたことも、参加者の増加を後押しした。

抽選で参加資格を得た横浜市在住の臨床検査技師、西村那美子さん(34)は、

「地震のあと、頼もしいと思った。自衛隊員にも家族がいるのに、被災された方のために頑張っていた」と話す。

(婚活パーティーは、いまだに自衛隊員のほとんどが男性であることを示す機会にもなった。22万5000人の自衛隊員のうち女性はわずか5.5%で、米軍の約15%に大きく後れを取っている。海上自衛隊の新入隊員886人のうち女性は81人にとどまる)。

13日午前、灰色の艦艇とコンクリートの兵舎という殺風景な景色を背景に白い制服に身を包んだ海上自衛隊員が待つ横須賀基地に、カラフルな夏服を着た女性たちが入って来た。

まず、参加者同士が知り合うための時間が設けられた。参加者は各自番号のついた名札を付け、参加者全員のリストを受け取った。最初に111人の海上自衛隊員が自己紹介し、女性がその後に続いた。男性が自己紹介するたびに女性は参加者リストと照らし合わせ、外見を評価した。女性の番になると、自衛隊員も真剣なまなざしでリストを確認した。

小野寺防衛相のスピーチが終わると、すぐに昼食の時間になった。空揚げ、ソーセージ、焼きそば、ポテトサラダなどを食べながら、多くの参加者が話し相手を見つけた。

派遣事務員として働く河村実恵さん(35)は、ある海上自衛隊と会話を楽しんでいた。河村さんには陸上自衛隊員と結婚した友人がおり、自衛隊員に良いイメージを持っているという。会話からは、日本のために全力で働く自衛隊員を支える妻になりたいと、自らを売り込んでいた。

昼食後は、自衛隊員が基地に停泊しているはたかぜ型護衛艦に女性を案内し、広い甲板を散歩した。海上自衛隊は自らをアピールする機会を利用して、戦艦や武器についての知識を披露したり、仕事について誇りを持って語ったりしていた。

会社員の松尾朋子さん(28)は、自衛隊についてよく知るために大阪から参加したと話す。「祖父が海軍で、船を一度目で見たかった」というのが参加の主な動機だが、イベントを通して海上自衛隊員との結婚も悪くはないと思い始めたという。夫が何カ月も家を空けるのであれば、自分も結婚後仕事を続けられるかもしれないというのも理由の1つだ。

その後、この日の最も盛り上がる企画がスタートした。各参加者がカードに気になる相手の番号を書き、主催者がマッチするカードを見つけるというものだ。1回目の投票で40組のカップルが成立し、2回目でさらに11組が成立した。相手を見つけたカップルは、他の参加者の拍手喝采を浴びた。

前出の河村さんは、谷口雄亮3等海曹(28)とカップルになり、「嬉しい!」と喜びを爆発させた。まずは友達付き合いから始めるそうだが、河村さんは35歳という年齢を理由に、あまり時間がないと話した。

谷口さんもまた、婚活パーティーの成果に満足したようだ。日本を守り、よりよくするために自衛隊員になったものの、これまで女性と出会う機会はほとんどなかったと話す谷口さんは、「自衛隊にいてよかった。真剣なおつきあいをしたい」と語った。

原文(英語):SDF: Looking for a Few Good Women — To Date
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2013/07/18/sdf-looking-for-a-few-good-women-to-date/

 

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