エジプト 衝突拡大 230人以上が死亡8月15日 5時5分
    エジプトの治安部隊は、首都カイロで座り込みを続けてきたデモ隊を強制的に排除しましたが、双方の衝突はエジプト各地に拡大してこれまでに230人以上が死亡し、混乱の長期化は避けられない見通しです。
治安部隊は14日朝、事実上のクーデターで大統領職を解任されたモルシ氏の支持者が座り込みを続けていたカイロ市内の2つの広場に突入しました。
治安部隊は、ブルドーザーなどでデモ隊を強制的に排除し、2つの広場を制圧したと発表しましたが、双方の衝突で30人以上が死亡しました。
また、この強制排除のあと、カイロ市内の別の地区や中部のファイユーム県などでも治安部隊とデモ隊が衝突したほか、政府機関などの襲撃が相次ぎました。
エジプトの暫定政府によりますと、一連の衝突でこれまでに全土で少なくとも235人が死亡したということです。
暫定政府は、混乱の収拾に向けて全土に非常事態宣言を出したのに続いて、14の県で夜間の外出禁止令も出しましたが、夜になっても各地で双方の衝突が続いています。
暫定政府の内部では、強硬策に異論を唱えていたエルバラダイ副大統領が強制排除に抗議して辞表を提出しましたが、暫定政府は、モルシ氏の支持母体ムスリム同胞団には厳しく対応するとして、取り締まりをさらに強めています。
これに対しムスリム同胞団側は、抵抗を続けるよう支持者に呼びかけていて、エジプトの混乱が長期化するのは避けられない見通しです。
デモ隊の拠点で強制排除
軍による事実上のクーデターに抗議して座り込みを続けてきたデモ隊に対し、治安部隊が強制排除に乗り出したのは、首都カイロの2か所の広場でした。
1つは、カイロの中心部を流れるナイル川の右岸から10キロほど離れたイスラム教のモスクに近い広場で、大統領職を解任されたモルシ氏を支持するデモ隊が1か月以上にわたって座り込みを続けていた最大の拠点です。
大統領宮殿からも近く、事実上のクーデターが行われた先月3日以降、広場の周辺では治安部隊とデモ隊が衝突を繰り返し、これまでに100人以上が死亡したとされています。
もう1つは、ナイル川の左岸にあるカイロ大学と動物園に近い広場で、デモ隊がもう1つの拠点として座り込みを続けていた場所です。
治安部隊は14日朝、双方の広場に突入を開始し、カイロ大学近くの広場を速やかに制圧したあと大統領宮殿に近い広場の包囲網を狭め、14日午後、この広場も制圧したと発表しました。
首相 強制排除は正当と主張
エジプト暫定政府のベブラウィ首相は14日、国営テレビを通じて国民向けの演説を行いました。
この中でベブラウィ首相は、「抗議デモを解散させようという決断は決して簡単ではなかった。国としては、国民の安全のため介入せざるをえなかった」として、治安部隊による強制排除は正当な行為だったと主張しました。
そのうえで「夜間外出禁止令はできるだけ早く解除する」と述べ、事態の収拾に努め市民生活への影響を最小限に抑える姿勢を強調しました。
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