現在日曜劇場で放送されている『 半沢直樹』が爆発的人気を博している。視聴率は右肩上がりで上昇しており、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。その人気の裏には、明白な勧善懲悪のストーリーと堺雅人演じる半沢直樹のキャラクターがあるようである。銀行員として働きながら銀行内外に潜む「敵」を倒していく、という内容は多くの会社員の共感を集めているのだ。
視聴者の中には、「私も半沢直樹のようになれたら」と憧れている人も いると思う。実際に、社会で彼のように動くことは大変難しいしリスクがある。しかし、彼のように会社や組織に流されず働くことは可能だ。今日からあなたが半沢直樹のように 上司に対抗していくにはどうすればいいのか。そこにはいくつかのポイントがあった。
ドラマでも見られるが、自分の責任を部下に押し付けるような上司は様々なところで見られる。自分にできないことを部下にやらせたり、部下に仕事を任せたまま自分は帰ってしまったり。そういったことは起こりうるし、そのことで頭を悩ませていたら、仕事への意欲も下がってしまう。
まず大切なのは自分の意識を変えることだ。上司とはいえ、相手も普通の人間である。悪いところがあるのは仕方がないし、そこにばかり意識がいってしまうのはもったいない。相手を変えるというのは大変難しい。それよりも自分の意識を変えることがこの問題を解決する一番の近道だ。
意識を変えるというのは、「その仕事が自分を成長させてくれる」など、自分のある状況をポジティブに考えるようにするということだ。これは自分の仕事に対するモチベーションアップにもつながる。上司から無理矢理仕事を押し付けられたときも、「嫌なものを押し付けられた」とネガティブな感情を抱くのではなく、その仕事に対してポジティブな感情を持つことが大切だ。
ポジティブな姿勢で仕事に取り組んでいれば必ず誰かが見てくれている。押し付けられたからといって仕事をなあなあにやっていると、その後何かあっても助けを求めづらくなる。自分の居場所を作るためにも仕事に対するネガティブな感情は取り払おう。
しかしポジティブに捉える、といっても限度がある。あまりに不当な仕事を割り当てられた時はきちんと対抗する意志が必要だ。この時に、自分がきちんと頑張っていたということを周囲が認めてくれていれば自分の主張を通しやすくなる。そういう面においても、押し付けられた仕事をやっつけでやることは自分にいい影響を及ぼさないのである。
明らかに上司が部下に仕事を割り当てすぎている、などと感じていたら第三者に対して相談しておくことも重要だ。特に同じ上司の下で働いている同僚や上司の上司にあたる人を味方に付けておくことは、不安を軽減し仕事に迎える効果がある。
ポジティブに仕事に取り組み、その上で相談はきちんとしておく。これが責任を部下に押し付けようとする上司への対抗策だ。
「自分が上司だから偉い」と考えている人も時に存在する。彼らは乱暴な言葉を使い、すぐに部下を叱責する傾向にある。部下を威圧することで自分の立場を優位にいたいのである。こういった上司が居る場合、彼の自分や周りに対する態度も重要になってくる。
上司が誰に対してもすぐに怒鳴り散らすような人の場合、その性格を変えるのは不可能だ。その場合真正面からその叱責を受けていると自分の心が折れてしまう。その時の対策は、上司の話を「流す」ことしかない。部下なら誰にでも怒鳴る上司というのは自分の弱さを知られたくないという人が多い。そのことを理解した上で、相手の叱責を受けることが大切だ。
相手が怒鳴るからふてくされた態度を取るというのは違う。相手との距離を保ちながら自分に責任のないところは流して聞く、というのが自分にストレスを溜めないコツだ。怒鳴っているのが不快なだけで、相手の意見から学べることもあるかもしれない。自分のスタンスを変えることが、自己中心的な上司に対抗する方法だ。
もちろん自分の業務態度に問題がある場合はそれを改善する必要がある。しかし、自分に身に覚えのない箇所で怒鳴られる場合は、向こうに悪意がある可能性もあるのでうまく見極める必要がある。単に自分が嫌いなだけだと分かったら、相手が怒鳴ることを気にする必要はない。堂々とした態度で仕事に臨むことが上司を見返すために重要なのである。
自分の報告に対して、「なんで?その根拠は?」などねちねちと聞いてくる上司もいる。こういった場合も自分の意識の転換が大切だ。理屈っぽい上司というのは確かに面倒だと思うかもしれないが、これも自分が成長するのに役立つのだ。
すべてのことに対して論理的な説明を求める上司を説得するということは、交渉力のアップにも繋がる。その上司を説得できるということは自分の説明が論理的であり相手を納得させたということなのだ。だから特に営業などの人は、あえてそういう上司を練習にするのもいいかもしれない。
論理的に説明するためには、もちろんそのための準備が必要である。何を言ったらどう質問が返ってくるか。何を言ったら自分の言いたいことが端的に伝わるか。そういったことをシミュレーションすることで頭の回転も速くなっていく。次に自分がどうしたら相手がどういう反応をするかの仮説を立てる練習になり、これが営業など他人と交渉する上で活きてくるのである。
自分の提案を上司に通したいが、何を言っても決して納得してくれないような上司がいるときは、その提案を進める上で権限を持っている人を説得するなど他のやり方をしてみるのも大事だ。何かプロジェクトを進める時に、直近の上司にしか相談しない人が居るが、そのプロジェクトに関わる人を味方につけられれば自分の主張を通す大きな支えになる。味方をつけた上で上司に論理立てて説明することができれば、上司に「Yes」を言わせることができるだろう。
このように組織の中には様々な上司がい ると思う。しかし自分を上手に変えていくことで彼らに対抗することは充分に可能なのだ。「自分なんてどうせ…」という人も少し自分の意識を変えるだけで、半沢直樹のように組織に流されない人間になることができるのである。これからはドラマの中だけではなく、社会の中でも「倍返し!」と叫ぶ社会人が増えることに期待したい。