【桜井泉】日本支配下の朝鮮半島で生まれ、太平洋戦争中、旧日本軍の軍属として連合国軍の捕虜の監視を担当したことが戦後、捕虜虐待に問われて死刑判決を受けた在日韓国人たちがいる。減刑・釈放された後、同じ境遇に置かれた同胞らと日本政府に謝罪と補償を求めてきたが、戦後68年を経ても実現していない。その一人、今年88歳になった李鶴来(イハンネ)さんは、今月あった証言集会で、若い世代に自らの「不条理」といまの思いを語った。
37度を超す猛暑となった11日、李さんは杖をつきながら都内の会場に現れた。歴史を学ぶツアーに参加した在日韓国人や日本人、韓国から来た教師ら20〜40代の約50人が集まった。
朝鮮半島の人々は先の戦争まで「日本人」とされたものの、日本の植民地支配が終わったことに伴い、一律に日本国籍を失った。旧日本軍で「日本人」として働いた李さんのような人々に対しても、日本政府は「日本国籍を失った」として補償には応じていない。一方、故国・韓国では、旧日本軍に協力した者とみなされ、白眼視された。