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名産アユ消えた 四万十ピンチ「大量死したのでは」

四万十川は例年より水温が高く、水量も少ない
高知・江川崎を流れる四万十川は例年より水温が高く、水量も少ない
Photo By スポニチ

 日本列島は14日も厳しい暑さが続き、西日本を中心に35度以上の猛暑日は160地点に上った。12日に国内観測史上最高の気温41・0度を記録した高知県四万十市は38・6度。5日連続の40度超えはならなかったが、日本三大清流の一つで、市内を流れる四万十川は水温が上がり、水不足が深刻化。「日本一暑い町」で盛り上がる一方、漁業関係者らを悩ませている。

 日本記録更新から2日。日本一暑い町を歩いてみた。気温が急激に上昇中の午後零時半すぎ、JR予土線江川崎駅に降りると、強烈な直射日光に肌が痛くなる。風もない。湿気もつらい。立っただけで汗が大量に流れ出す。サウナの中にいるようだ。

 駅舎には「日本一暑い江川崎」の看板。1キロほど歩くと、四万十川の川岸に着いた。足だけ漬かってみようとはだしになると、川べりの石の熱さに思わず跳びはねてしまう。冷やそうと川に脚を入れると、ぬるい。ふだんは魚影が濃いといわれるアユは1匹も見つからない。

 近くの農産物直販所「西土佐ふるさと市」に行くと、人垣ができていた。気温41度にちなんで100円から41円に値下げしたかき氷が飛ぶように売れている。名古屋市の会社員土居芳太さん(47)は「タイムリーだと思って来ました。名古屋も暑いけど、ここはもっと暑い」と長女(14)とめい(11)と一緒に氷を頬張った。直販所を運営する地元の西土佐商工会の武内淑さん(36)は盛況ぶりに目を細め「Tシャツやバッジを作って販売したい」。直販所を訪れる観光客は例年の5倍ほど多いという。

 観光業で日本一効果が出た一方、連日の猛暑は漁業と農業を苦しめている。直販所の中脇健太郎さん(27)は「ここに出荷されてくる野菜の量が例年の7〜8割ほど。雨が降らないのと酷暑で野菜の出来が悪い。農家は今、大変です」と表情を曇らせる。

 特に深刻なのは名産のアユの漁獲量。四万十川西部漁業協同組合の林大介部長(54)によると、13日に水温が32度を計測した上、晴天続きで川の水量が少ないのが原因。「アユが棲息できるのは30度。漁獲量は明らかに減っていて、大量死したのではないかと不安になる」と話す。15日には県の出先機関が川の潜水調査を行う。

 夕方には前日13日に続き1時間ほど豪雨に見舞われたが「川の水温と水量が戻るほどの雨ではないはず」と林部長。「暑くて喜んでいるのは一部の人だけ。暑さで観光客が増えても、名産を失ったらどうしようもない」と切実に訴えた。

[ 2013年8月15日 06:00 ]

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