米司法省、AMRとUSエアの合併阻止へ提訴-利用者に不利益
8月13日(ブルームバーグ):米司法省は13日、アメリカン航空 親会社AMRとUSエアウェイズ・グループ の合併阻止に向け、連邦反トラスト法に基づく訴訟を起こした。両社が合併すれば、ダラスやワシントン、シャーロット(ノースカロライナ州)の発着便の運賃は上昇し、便数が減る恐れがあるとしている。
司法省の主張の中核にあるのは、合併が実現すれば多くの市場で料金が値上がりするとの懸念。米航空大手は2005年には9社あったが、現在は5社に減っている。3位のAMRと5位のUSエア の合併計画は一連の再編の中でも最大規模となる。
司法省は両社の合併は航空大手の影響力をさらに増大させるだけで、両社が直接競合する市場で消費者の不利益は最も大きくなると主張している。
航空市場調査会社イオノスフィア・キャピタル(バージニア州)のパートナー、ボーン・コードル氏は「今回の合併計画が実現すれば、航空業界にはかつてないほどの寡占状態が生まれる」と指摘した。
AMRはマンハッタンの連邦破産裁判所に自社の再建計画の承認を求める準備を進めていたが、司法省はその2日前に提訴に踏み切った。セントジョーンズ大学(ニューヨーク)で法学を教え、航空会社の破綻問題を専門とするアンソニー・サビノ氏は、破産裁判所のショーン・レーン判事がAMRの計画承認のための審問を9月下旬か10月初旬まで延期するだろうと述べた。
今回の司法省の動きはアナリストや投資家の予想外だったため、航空会社の株価は急落。10銘柄から成るブルームバーグ米国航空株指数は5.7%安と4月以来の大幅下落となった。最も大きく下げたのはUSエアで、13%安の16.36ドル。
司法省はAMRとUSエアが合併すれば、輸送量で米ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングスのユナイテッド航空を上回って業界首位となり、競合他社の動きを気にせずに航空券の値上げが可能になると主張。特にワシントンにあるロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港ではUSエアが現在55%の発着枠を確保しており、合併によって69%に高まるとしている。
AMRとUSエアは裁判で争う姿勢を示した。
原題:AMR-US Airways Seen by U.S. Squeezing Fliers in Too-BigDeal (1)(抜粋)
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更新日時: 2013/08/14 11:40 JST