【高木智子】「体で知っている戦争のばかばかしさを、しっかりと伝え残しておきたい」。戦争体験の投稿を募った朝日新聞の連載に共鳴した人たちが、25年前に企画を引き継いで文集「朝風」を創刊した。時は流れ、戦争を知る人は次々と亡くなり、文集発行は昨年に中断した。それでも語り継ぐ。91歳の元兵士の手によって。
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「生きているうちに一本でも多く後世に残したい」
福島県須賀川市。佐藤貞(ただし)さん(91)は自宅で、3台のパソコンとスキャナーを慣れた手つきで操り、「朝風」に収録された原稿をホームページ(HP)に載せる作業を続けている。
朝風とは、1986年7月から87年8月まで朝日新聞紙上(東京、西部、名古屋)で読者からの投稿を掲載した「テーマ談話室・戦争シリーズ」で縁を結んだ人たちが集い、まとめた文集だ。連載の戦争シリーズには約4千人が投稿を寄せた。