そこが聞きたい:麻生副総理「ナチス」発言 ゲプハルト・ヒールシャー氏

毎日新聞 2013年08月14日 東京朝刊

ゲプハルト・ヒールシャーさん=東京都杉並区2013年8月5日、青島顕撮影
ゲプハルト・ヒールシャーさん=東京都杉並区2013年8月5日、青島顕撮影

 ともに戦後、外国に占領されましたが、日本は一つの国として残りました。ドイツは私が生まれた東プロイセンを含め、自国領土の24%を失ったうえ、二つの国に分断されました。国家が継続した日本に比べ、ドイツは新しい出発をして、「悪い」過去に対する区切りが意識的に行われたのです。

−−麻生氏の発言は憲法改正を巡るものでした。ドイツは憲法にあたる「ボン基本法」=2=を多数回改正している一方、日本は一度も憲法を改正していません。日本は改憲のハードルが高いという議論も出ています。

 ドイツは戦後59回改憲していますが、人権尊重など基本構造を変えたことはありません。東ドイツと統一した後は、州の数の変更に伴う改正がありました。ハードルが低いわけではなく、連邦議会、連邦参議院で、それぞれ3分の2以上の賛成が必要です。政治的に対立する点では改正は困難です。少なくとも保守的なキリスト教民主同盟・社会同盟とリベラルな社会民主党という立場の異なる2大勢力が合意しなければ、改憲はできません。

−−日本に憲法改正の機運が高まっていると思いますか。

 国民の多くが日本国憲法改正を望んでいるとはいえないでしょう。私は改憲が許されないとは考えていませんが、基本構造を簡単に改正すべきだとは思いません。改正手続きを定めた96条を緩和して、今より容易に変えられるようにすべきだとも思いません。

−−日本の政治家に言いたいことはありますか。

 自民党の政治家にも、過去と向き合う意思を持った人はいました。90年代の宮沢喜一首相や河野洋平官房長官は、慰安婦問題に取り組みました。彼らの姿勢が、償いのための基金作りや首相のおわびの手紙につながりました。それより前の世代の大平正芳首相も同じでした。今の政治家からはそうした思いが伝わってきません。逃げないという意思さえあれば、日本も今からでも過去と向き合うことができると思います。

−−麻生氏の発言を巡る日本国内の報道はドイツなど国外での声を受けてから大きくなりました。

 日本人の間で戦争や歴史について基本的な認識が共有されておらず、発言の異常さに気づかなかったのかもしれません。もっと早く自発的に報道し、問題から目をそらすべきではなかったと思います。

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