米国債:続落、小売売上高の増加で-緩和縮小の観測広がる
8月13日(ブルームバーグ):米国債相場は続落。米小売売上高が4カ月連続で増加したことを受け、約1週間ぶりの大幅安となった。米金融当局が債券購入プログラムの規模縮小を開始できるほどに、経済が力強さを増しているとの見方が広がった。
5年債と10年債の利回り差はほぼ2年ぶりの大幅に拡大。米商務省の発表によると、7月の小売売上高は前月比0.2%増加した。アトランタ連銀のロックハート総裁は、債券購入の縮小は今後3回の連邦公開市場委員会(FOMC)のどの会合で始まってもおかしくないと述べた。同総裁は当局による月間850億ドルの債券購入策に支持を表明してきた。次回FOMCは9月17-18日に予定されている。
クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、カルロス・プロ氏(ニューヨーク在勤)は「小売売上高はまずまずの数字で、9月の緩和縮小を阻む内容ではない」と指摘。「緩和縮小に備えたポジション調整が進むにつれ、利回りはじわじわと上昇するだろう。8月末までは2.55-2.75%のレンジを抜けないと思われる」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時29分現在、10年債利回り は10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.72%。一時は1日以来で最大となる11bp上げる場面もあった。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格は26/32下げて98 1/8。
小売売上高7月の小売売上高のブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は前月比0.3%増加だった。前月は0.6%増(速報値0.4%増)に上方修正された。国内総生産(GDP)の算出に使用される自動車、ガソリン、建築資材を除くコア売上高は0.5%増と、昨年12月以降で最大の伸び。
BTIGのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ダン・グリーンハウス氏(ニューヨーク在勤)は「小売売上高の数字は良好で、緩和縮小の観測を一層高めた」と述べ、「商いは薄かった」と続けた。
5年債と10年債の利回り差は1.24ポイントと、6日に記録した2011年8月以来の最大である1.25ポイントに接近した。イールドカーブのスティープニングは投資家が経済成長の加速を見込んでいることを反映する。
トレーダーのインフレ見通しの指標となる10年債と同年限のインフレ連動債(TIPS)の利回り差 (ブレークイーブンレート)は一時2.28ポイントに拡大。5月29日以来の最大となった。
物価統計米労働省は14日に7月の生産者物価指数(PPI)統計を発表する。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査では、前年同月比2.4%の上昇が予想されている。6月は2.5%上昇だった。15日発表の7月消費者物価指数(CPI)は2%上昇し、6月の1.8%から加速すると予想されている。
米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏はツイッターへの投稿で「米金融当局が量的緩和を縮小させるのは経済成長が力強さを増しているからではない。資産バブルへの懸念があるためだ」と指摘した。米国株式市場のS&P500種株価指数は今年に入って23%上昇。昨年は年間で12%上げていた。
ロックハート総裁はアトランタで講演し、「資産購入に対する最初の調整というのは、段階的に行うプロセスの始まりになる。それは今後入手する情報と経済の方向性を示す確実性の積み重ねによって決定する」と述べ、「いつ着手するかの決定は、9月か10月、12月のいずれにせよ、慎重な一歩として考えるべきだ」と続けた。同総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)での議決権は持たない。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は「7月の米小売売上高はエコノミストや米金融当局の考えと一致した。「とんでもない内容の統計が出てこない限り、債券購入は縮小されるだろう」と続けた。
原題:Treasuries Fall Second Day as Sales Data Fuel Bets Fed toTaper(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Susanne Walker swalker33@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Dave Liedtka dliedtka@bloomberg.net
更新日時: 2013/08/14 05:59 JST