その他

市場流動性低下で金利変動率高まる恐れ=7月日銀議事要旨

2013年 08月 13日 10:23 JST
 
  • Mixiチェック

[東京 13日 ロイター] - 日銀が13日公表した議事要旨によると、7月10─11日に開催した金融政策決定会合では、長期金利は安定して推移しているものの「国債市場の流動性低下により、小さなショックで長期金利の変動率が高まる恐れがある」との懸念を、財務省側出席者が表明していたことが明らかになった。

長期金利は、日銀が異次元緩和を4月に導入した直後は乱高下したが、多くの委員は6月中旬以降の世界的な金利上昇局面では安定的に推移していると指摘。「日銀の巨額国債買入が強力に(金利上昇圧力を)抑制している」との見方を示した。

ただ「債券市場には不安定性が残り、国内物価や米国金利に注意が必要」(ある委員)との指摘も出た。日銀の国債買い入れで金利の低位安定が保たれるとの期待が過度に高まると、円キャリートレードによる新興国向け投資拡大など「国際的な金融不均衡蓄積の可能性がある」(ある委員)と懸念する声も出た。 何人かの委員は「金利の安定確保には、財政運営に対する信認維持も必要」と強調した。

同日の決定会合で日銀は景気の現状判断を前回6月の「持ち直している」から「緩やかに回復しつつある」とし、7カ月連続で上方修正した。「回復」との文言が入るのは2011年1月以来、2年半ぶり。ある委員は「海外経済の不透明感などを踏まえると『回復』との文言を用いるにはもう少し時間をかけて見極めた方が良い」と慎重な姿勢を示した。

物価については「世界的なディスインフレ傾向の中で、日本の物価が独自要因でプラス幅を拡大していくか注視している」(1人の委員)との意見が出た。

物価と、失業率や成長率の関係を示すフィリップス曲線が上方シフトするには「定例給与の上昇が重要」(ある委員)、「先行きの物価は所定内賃金の動向がカギ」(複数の委員)など、物価が上昇する上では賃金が重要との見解が相次いだ。「マネーストックの増加は実際の物価上昇率を引き上げ、それが予想物価上昇率の上昇につながる」(1人の委員)、「消費税率引き上げのがい然性に対する認識の影響を識別することは、引き続き難しい」(1人の委員)などの発言もあった。

海外経済をめぐっては、「中国の質を重視する政府の政策姿勢が、短期的には経済の下振れリスク」(複数の委員)、「今後も米国金融政策をめぐる思惑が、国際金融資本市場に影響を与える可能性(何人かの委員)などの発言がみられた。

(竹本能文;編集 田中志保)

 
写真

法人税減税、効果には疑問も

法人税減税への期待で株高・円安が進んだが、消費増税のマイナス影響は、法人税減税で吸収できないとの声も聞かれる。
  記事の全文 | 特集ページ 

注目の商品

8月13日、日銀議事要旨によると、財務省側出席者が7月の金融政策決定会合で、長期金利は安定して推移しているものの「国債市場の流動性低下により、小さなショックで長期金利の変動率が高まる恐れがある」との懸念を表明していたことが明らかに。都内の日銀本店で8日撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)

外国為替フォーラム

写真

4─6月期GDPのつまずきは、消費増税論議に微妙な影響を与えかねない。  記事の全文 

ロイターオンライン調査

*統計に基づく世論調査ではありません。