映像紹介−「反原発へのいやがらせの歴史展 」
「反原発へのいやがらせの歴史展 」
【原子力資料情報室CNICトピックス】
原発反対運動への異常ないやがらせ
1986年4月にチェルノブイリ原発事故が起きました。その数年後日本でも、原発反対 運動が大きく盛り上がったことがありました。1988年2月に伊方原発の出力調整試験 の反対運動が空前の盛り上がりを見せ、1988年4月には日比谷公園で2万人の集会が 成功しました。1992−3年にはあかつき丸によってフランスからのプルトニウム輸送 が行われましたが、これに対しても、世界的な反対運動のネットワークが作られました。
この展覧会で明らかにしようとしている原発反対運動へのいやがらせは1980年代の終 わり頃から見え隠れし、1993年ころがピークで、2000年頃まで続きました。あま りにも卑劣なやり方に全国の活動家たちが集まり、1994年から準備して1995年7 月には日弁連に人権侵害救済の申し立てをしました。
私はその申立人らの代理人でした。
この人権侵害の特徴は、原発反対運動に係わる個人に対して、大きな組織が結託して、執 拗に継続されている権侵害であるということです。また、個人の自宅や自宅周辺の写真を 送りつけるなど、身辺への危害をほのめかす卑劣きわまりないものでした。郵送されて来 る文書の中には、明らかに違法に収集されたと思われるまったくの第三者宛の信書や税金 関係などの請求書、使用済みの大量のJR切符や運動内部で配布された文書や原子力推進 機関の内部資料などが含まれていました。これらの意味するところは、この人権侵害の実 行者たちは、目的のためには違法行為も辞さない、あるいは、自分たちは違法な行為をし ても責任をとわれない集団であるという印象を与え、言いしれぬ恐怖感をもたらすもので した。
この展覧会の意味
今日に至っても、このような嫌がらせを行った犯人はわかりません。日弁連は、行為者が 不明という理由で結論を出すことができませんでした。しかし、現時点で見れば、このよ うな嫌がらせは、電力会社と公安機関、そしてキャンペーン活動のプロ集団が複雑に絡み 合った組織による組織的な運動破壊であったと思われます。
今年の秋から、原発の再稼働、新増設への動きに拍車がかかるでしょう。これに対応して 反対の活動も活発となることでしょう。そのとき、手紙や写真という伝統的な形とは変わ るかもしれませんが、1990年頃と同じような目的で、ネットなどを使ったより巧妙な 反対運動への攪乱工作が行われるのではないかと強い危惧を感じます。
この展覧会の目的は、このような活動を未然に防止するために、過去の嫌がらせの歴史を 正確に多くの市民に知っていただきたいということです。さらにこの反倫理的な犯罪的行 為に荷担したおそらくは数百人に上る者の中から、過去の行為を認め、詳細を明らかにす る者が名乗り出てくれることを願うところにあります。
私たちは、このような行為に手を染めた個人の責任を追及したいわけではありません。す でに法的には時効にかかっているでしょう。しかし、どのような機関が責任を問われるべ きかを明確にしておくことが、今後おなじような嫌がらせが起きないようにするため、何 よりも重要であると考えるからです
(展覧会実行委員会代表 海渡雄一)。
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